ぶどうの房数を何房、ならせられるのか?
枝1mにつき4房。
目安は葉の数。葉1枚につき、1粒の実を成らせることが1つの基準。1房を30粒とすれば、葉の枚数が30枚あれば結実が可能に。ちなみに45粒あれば市販品サイズ。
5房(5房×30粒)をならせたければ、葉が150枚必要。かなり葉っぱの枚数が必要なのが分かります。
プロの栽培農家(一般に閲覧できる栽培マニュアル)では、1mあたり8新梢を伸ばし、6房(45粒程度)をならせます。つまり2本の新梢には実を成らせず葉数を確保。
目次
ぶどうの房のサイズと粒の大きさ
1葉1実が基準になりますが、もし無理して葉数30枚で2房(60粒)をならせたら、樹に負担がかかります。粒も小さくなり糖度も上がらない傾向に。くれぐれも無理させないでください。
1房に粒数を増やすと粒が小さくなります。
つまり房数を増やしたいのか、粒が大きいのを食べたいのか、甘いぶどうを食べたいのかでも変わってきます。そのあたりの情報をもとに、栽培計画を立てる必要があります。
こんな場合はどうなる?
例えば、葉数が900枚あると30粒を30房ならせることが可能。仮に間違えて31房ならせてしまっても、1房多いですが負担は3%、これくらいなら大丈夫。
ところが葉数90枚しかない小さな樹で、4房(1房多い)は、33%(3割以上)の負担。影響は大きくなります。
このように樹が小さいほど負担が大きくなるので、特に樹が小さいうちは要注意。最初はたくさんならせたくなりますが、まずは樹を太く、大きくしていくのが大事。あまり無理させると弱って枯れます。これは果樹全般に言えること。
理想の収穫目安
1m(100cm)あたり8本の新梢を出します。
1新梢あたり葉数を15枚、1房を小ぶりの30粒にすると、葉数は(8新梢×1新梢の葉数15枚=120枚)となり、(120枚÷30粒=4)4房を収穫することが可能です。
実際には樹勢や葉の状態なども見る必要がありますが、無理なく収穫できる目安になります。なお副梢は計算に入れていませんが、多少の余裕になると思います。
YouTube『林ぶどう園』さんの下記の動画は、とても参考になります。8分41秒あたりから、葉数と実の目安について解説されています。その前後を視聴されると理解が深まります。
この情報を裏付ける文献もあるので、下記にまとめました。
>> 参考文献一覧
無理して収穫量を増やしたら
この記事では、繰り返しならせ過ぎはダメとお伝えしていますが、念のため再度、こちらに章としてまとめました。それだけ重要ということです。
限界を超えると、来年の収穫量が激減したり弱ったり枯れるきっかけに。これは果樹全般で同じような傾向。
とはいえ減らせばOKかとういうと、そうとも言えません。減らしすぎは収量が減ってしまいます。
房数や粒数を減らして粒を大きくしようとしても、大きさにも限があります。例えば、大きな樹に房を1つ、粒を1つにしてもテニスボールのような大きさにはなりません。何事も限界、上限があります。
葉数以外の条件
葉数が30枚あれば、1房を成らせる条件はクリアしています。
しかし・・・枝が鉛筆より細い場合は?
枝の太さは樹勢と関係しています。細ければ樹勢は弱く、太ければ樹勢は強いと判断できます。とくに新梢の先端が貧弱だと樹勢が低下しています。摘芯して枝の充実・回復に努めます。
樹勢が弱いけど収穫をどうしてしたい場合
一般的には鉛筆の太さ(8mm)より細い場合には、まだ樹が充実していないので収穫は控えます。
ただし翌年に向けて、花を少しだけ残して開花したら摘花するようにすると、来年の実付きが良くなるとの情報も。情報元『園芸農家イシヅキちゃんねる』は、下記の動画の3分20秒~。
経験から導きだされた答えなので参考になると思います。鉛筆で比べてみてください・・・鉛筆、あるなか!?
最終的に何房のぶどうを収穫するか
最終的に何個のぶどうを収穫するか、成らせるかは樹の樹勢によって変わりますが、太さという基準を紹介しました。
ところで・・・購入してきた苗がどれくらいで収穫できるようになるのか?
例えば、2年生の挿し木苗(1500円程度)を購入したら、翌年に1~2房(15粒くらいの小さなぶどう)を成らせられるくらいには成長します。
土壌改良した肥沃な土地に地植えすると、樹勢が強くなる傾向にあるので、もしかしたらもっとならせられるかも。鉛筆以上の太さの枝までは、実をならせられると考えてOK。それが1mあれば、30粒くらいの房を4房は可能に。あとは葉数がかせげればOK。
いくらは数が多くても、枝が鉛筆よりの細い場合は実は来年以降にします。見極めが難しいと判断したら、3年目からの収穫がベスト。
3年、4年生の大苗で根っこが充実した苗が入手可能であれば、翌年にはかなりの収穫が見込めます(土壌改した前提)。
地植え、鉢植えに限らず適切に育てれば、翌年に数個のぶどうは収穫が可能なくらいには成長します。
まとめ:ぶどうは何房くらい収穫しても良いのか?
植え付け2年目より収穫自体は可能になります。ぶどうは何メートル伸びたかではなく、太さで判断します。1実1葉が目安にはなりますが、樹の状態によります。
ここでは植え付け2年目の前提でまとめました。
- 鉛筆以下の枝の場合は、ぶどうはならせない。
- 鉛筆(8mm)より太く樹勢が強い場合は、1葉1実を目安にならせることが可能。
- 枝1mにつき8新梢、30粒で4房は狙えます。
実際にはそれぞれの樹の樹勢、状態によるので判断は難しい。できるだけ植え付け2年目までは樹の成長を重点的に栽培して、3年目以降に本格的な収穫を目指します。
なお鉢栽培の場合、生育が芳しくない場合は、土の容量を60L以上にすれば、もっと樹が大きくできるので収穫は見込めます。
3年生、4年生で接ぎ木苗で根量があり太い苗であれば、植え付け翌年から、本格的に収穫が可能になります。苗はお高いですが、可能であれば接ぎ木苗が収穫量は見込めます。ちなみに栽培農家さんは接ぎ木苗です。
- ぶどう「シャインマスカット」の短梢栽培における適正着果量-岩手県農業研究センター
- 新技術を導入した 「シャインマスカット」栽培マニュアル-農研機構
- 「シャインマスカット」の無核栽培マニュアル-愛知県農業総合試験場園芸研究部落葉果樹研究室
- 都留市版 ブドウ栽培マニュアル
- 福岡「シャインマスカット」栽培マニュアル (Ver.2)-農林水産省
釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。