「子供が秀才に!?」
あるときから、子供が自主的に勉強をするようになると、成績がグングン上がっていきました。
その要因がピグマリオン効果。
「山田太郎君、いつも宿題をきっちりして凄いね!」と、先生が伝えます。
生徒は、先生から期待されていると分かります。
「よし、もっと宿題をがんばろう!」と、帰宅するとすぐ宿題をするようになります。山田くんは病気でもしない限り、宿題を欠かさないでしょう。(※問題点は後述)
宿題は予習や復習になるので、山田花子ちゃんの成績がアップするでしょう。
このように特定の人から期待されると、それに応えたいと頑張るようになります。これは学校に限らず、家や会社でも同様です。
「花子、今日も宿題をすぐにやったの!偉いね!」
テストで50点だったとしても「50点も取れたんだ!ママより凄いよ。太郎は天才かも」と褒めます。
両親が自分の子供を信じて褒めると、結果としてやる気度がアップして成績向上になります。するとまた「60点ってすごいじゃん!」と。
さらに頑張って70点。好循環に。
仮に点数が下がっても、「すごいよ。頑張ってるから」と、叱らず良い所をほめます。
ピグマリオン効果の活用と問題点
ほめて伸ばすというのも、このピグマリオン効果の一例です。
ただし注意する点もあります。
人をほめるのは良いことですが、ほめ方を間違うと逆にやる気を無くしたり、本人が自己嫌悪に陥る危険もあります。
ピグマリオン効果の活用
ここでは子育てを例に紹介します。
例えばお子さんが魚に興味を持ったら、
「お魚、好きなの?」
「うん」。
「じゃあ、今度のお休みの日に魚屋さんにお買い物に行く?」
もし生きている魚が見たいなら水族館が良いかもしれません。
本人が学びたい気持ちがあるなら、本屋さんや図書館に行って興味があるものを、自分で見つけさせるのも良い選択です。
『さかなくん』さんや、武士の家計簿の著者としても有名な歴史学者の磯田 道史さんなども、家族の影響を受けていると言われています。
参考 こんな人いる?磯田道史さんの魅力は歴史学者の枠を超えた規格外の人間性にあった!
つまりお子さんが、自分から『知りたい』という興味があることを、積極的に、あるいはさりげなく応援して見守るのが大切です。
親が押し付けるのは、最悪のマイナス効果になります。
私の経験では、親から「勉強しなさい!」と、上から目線で言われると反発します。
それに親がテレビやスマホで遊んでいるのに、子供にやらせるのは納得しないでしょう。
「ママは良いよね、遊べて」
「ママだって、子供の頃は勉強したんだよ」
なんて言い返したら、恨みしか残りません。昔のことを言われたって関係ありません。
子供にしてみれば、今のことを言っているのであって過去を持ち出してもダメ。
我が家で大事にしているのは、親も勉強をしている姿を見せること。資格でも良いし、英語でも良い。何でも良いです。
大人になっても親が学ぶ姿勢を子供が見れば、「ママ、何しているの?」。
「えっとね。いまママはお勉強しているの」。
「へえ~すごいね」。
「勉強は楽しいからね」とママ。
もし親がこんな姿勢だとしたら、子供はどうなると思いますか?
我が家では、「子供に勉強しなさい」とは言いませんでした。
それどころか「高校だって大学だって行きなさい!」とは言いません。「勉強したくなければ、行かなくても良いよ」と言いきかせていました。
そもそも高校や大学は義務教育ではないので、親が強制して行かせるものではなく、自分が勉強したいなら行くべきです。
結果的にはどうなったのか?
二人とも、自分から「大学に行かせてください」と言ってきました。
ピグマリオン効果の問題点『ノルマ』
まさか学校で、自分の子供だけに「期待している」と言ってくださいなんて、先生に依頼できません。
だから学校でピグマリオン効果はダメ。
それでは家なら・・・
魚のことが知りたくて、図鑑を見ている子供に向かって「頑張ってね」というと、負担になってしまったり、ママから命令されているみたいで嫌だ。
そう受け取られてしまうと、二度と魚について学ぶ姿勢を失ってしまうかもしれません。
だいたい「頑張ってね」というのは、親の押し付けの気持ちが見え隠れします。
また本人が頑張っているつもりなのに、それ以上に言われると負担に感じてストレスが増大することも。もし受験の時だったら、あるいは怖い結果になるかもしれないので要注意。
このように期待していることを伝える、伝え方がとても難しい。よほど子供を普段から観察して、よく理解していないと逆効果になります。
親ができること
ピグマリオン効果が発揮されるためには、子供のやる気を自然に大きくなるように見守りながら行う必要があります。
もし繊細な子供であれば、なおさら要注意。
テレビに出ているような偉い先生の発言を信じるのも良いのですが、実際には個性は1000人子供がいれば、人それぞれ。
いくら私の子供が上手くいったとしても、それはたまたま良い方向になっただけかもしれません。お隣さんや、知り合いの家の子供も、偶然かも。
もし予想していたより成績がアップしなかったり、自分から学習しなくても押し付けるのだけはやめてください。
教育論に当てはまらない子もいるので、親が予想している行動をしてくれるとは限りません。
子育て、難しいですね。
甥っ子も同じように育てられていましたが、今のところ成績はアップしなかったようです。
とはいえ、ピグマリオン効果を知らないで子育てするとマイナスの方が多いと感じています。
文献で詳細を調べて研究したい方は、勉強してください。
(文:さとみ)
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参考文献
- 教師の期待は子どもを伸ばすか–ピグマリオン効果を超えて (特集 子どもが伸びるとき)
上越教育大学教授 中山 勘次郎 氏 - ピグマリオン効果は本当なのか? ―教育現場での6年間の実験的研究結果からみる―
日本教育心理学会第 59 回総会発表論文集(2017 年)
胡 琴菊(中部大学) 氏
釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。