労働分配率が低い企業は、従業員の給与が安いからダメ・・・という思い込み。これは完全に間違いです。
そもそも、50%や60%に意味も勝ちもない!
単純に出来上がった数字だけ見ていても、中身が分からないと判断ができない。しかし、よく考えてみれば、当然のことですね。
例えば労働分配率が、60%と50%の企業があると、普通は60%の方が給与が高くて良いと思うけれど、実は50%の方が優良な会社の可能性があります。
労働分配率は、バランスが難しいですが・・・
目次
労働分配率は数字のマジック
企業が儲けたお金が、労働者の収入にどれくらい回っているかを示すのが労働分配率。
計算式はこれですが・・・
労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100
「イメージしづらい」
こんな時、極端に考えると分かりやすい。
労働者1人の会社の労働分配率
わずか労働者1名の、企業Aと企業Bという小企業があるとします。
企業Aは、ざっくりとした1ヶ月の平均的な粗利益が100万円、企業Bは50万円と仮定。
※注 売上じゃない。もうけですよ。
「社員一人なら、まあまあでしょう?」
一方、労働分配率は、企業Aは50%、企業Bは60%とします。
- 企業Aの従業員は、50万円(まるっと半分)もらっているわけです。
- 企業Bは、30万円。
あなたなら、どちらの企業に勤めたいですか?
「私だったら労働分配率50%、50万円もらえる企業に就職したい」。いくら分配率が高くても、給与が安ければダメですよね?
つまり労働分配率は、それだけでは価値が分からない。給与などを比較しないと意味がない。
全く同じ業界で、同じ様な規模で双子の企業のようなもの同士を比較するなら、数字に説得力がありますが、単純に数値だけを見ても意味がありません。
「それじゃ、分配率より、手取り額で比べた方が良いよね?」という意見があると思いますが、それもイマイチ。
- 東京の物価の高いところで、平均家賃10万円のところで月収40万円の人。
- 地方で家賃3万円で月収35万円の人を比べたら、実質、月収35万円の人の方が生活は豊かといえそう。
しかも地方で海に近く、自然が豊かなところに住んでいれば、魚貝類も野菜も安い可能性が高い。
ちなみに私の住んでいるところも、魚も野菜も安いので大都会の人と比べると、食と住は安く抑えられます。
労働分配率より給与のアップ
働き方改革が叫ばれていますが、企業の1人当たりの生産性をアップさせて粗利を増やして、手取りのアップを狙いたい。
実際には、給与は増えず企業も内部留保で蓄えていても、倒産するリスクが増しています。
たった1つのリコールが、数千億円、数兆円という損害賠償に発展する例(エアーバックのタカタ)もあり、少々の内部留保では、とてもまかなえない時代になっています。
もちろん「経営者がしっかりしろ!」というのは分かりますが、結局、リストラされたり給与が激減したり、倒産すれば私たちに降りかかってきます。
いくら経営者が優秀だとしても、多品種の製品があれば1つのミスが大きな事件に発展する可能性があるので、現場の品質管理や作業者のチェック体制も大切になります。
最終的に問題が発生する直接的な原因は、経営者ではなく現場にあるので、人ごとではありません。
企業の存続と賃上げ、どちらが優先?
立場が変わると、戦略や考え方も違う。
- そもそも経営者は、株主の利益と企業の存続が最優先で働いています。
- 一方の私たち労働者は、賃上げが優先して欲しい立場。私たちは企業のことより、自分を優先した考え方。
この違いで、経営者と激しく対立することも。だからツッコミ所満載の、労働分配率まで持ち出して議論したくなります。
私は、こういうとき戦国時代に置き換えて考えてみます。
今より再就職が困難な戦国時代、ご存知の通り武将の家の存続が第一でした。黒田家(黒田官兵衛)、真田家(NHK大河ドラマ 真田丸)などを見るとよく理解できます。
武将の家が無ければ、財産(土地など)全てを失う。
負けた家とその家臣は、土地も命も(家族も)奪われるリスクがありましたから。だから家を支えるために、家臣は命を賭けて殿(御館様 おやかたさま)を支える。
その気持ちに応えて、殿は報償を最も大事な仕事の1つとして考えていました。
しかし、いまはどうでしょうか?
部下は企業に忠誠を誓うことはありません。「ですよね?」むしろ、嫌々働く人の方が多い(汗)
だったら・・・
数値の比較なんてしてないで、賃上げ要求しても通らないなら転職すれば良い。
自分がやりたい業種が前提ではありますが、企業選びは自由にできます。土地(家や実家、両親)縛られる人もいるかもしれませんが、引っ越しを前提にすればどこでも働けます。
介護で体の問題で引っ越せないなどは、もちろん例外として除外しますよ。そこまで言い出すと話が先に進まない。
さて、『給与が高く、休みが多い、そして企業ブランドのイメージが良ければ、そこに就職したい』と考えている人が多いのではないでしょうか?
そのような労働者が就職してくるわけです。業績が悪化すれば、いつでも転職すればいい。別に企業にも、社長にも忠誠心はないのですから。
労働者と経営者はドライな関係
関係はドライで良い。
経営者は業績悪化しても、無理して労働者を雇用する義務はないので、簡単にリストラします。(法律上、制限がかかっていますが)。
これが戦国時代なら、命をかけて忠誠を誓って個人的に仕えてくれる関係なので、そう簡単に家臣に暇を与えることはできません。もし忠誠を使う家臣を首にすれば、武将として信頼されません。
お互いドライな関係になった今、労働者も労働分配率の高い会社、給与がたくさん欲しいなら、自分の価値を認めてくれる企業に転職するのが早いでしょう。
そうすればダメダメ企業は、働き手がいないので倒産するか、これではダメだと思いそこから改善して復活するハズ。ヘタに無理してその企業で働くから、なあなあになって何も変わらない。
民主主義で自由経済の日本の現代社会なら、自由に起業できるので自分が能力が高いと思う方は、理想的な起業を創業できます。無理して人の下で働く必要はない時代ですから。
『労働分配率は低い』まとめ
ここまで読んでも、労働分配率は低いと『悪い企業』と腹を立てている方は、嫌な企業ならさっさと辞めて転職するか、理想的な会社を創るため起業しましょう。
そうやって前向きに、建設的に前進しませんか?
嫌な会社に無理して勤めていると、脳に過大なストレスをかけ続けるので、体調や精神にまで異常になるリスクがあります。
そもそもお金の為と割り切って仕事をされているなら、なおさら転職を検討すべき。
もし、どうしてもその企業でしか実現できないことがあるなら、努力してまずは実績を上げて自分やりたいことを実現できる役職まで上がるか、仲間を増やすしかありません。
そして自分が経営者の立場になったとき、労働分配率を100%に近づけてください。
「私の給与はいらない。労働者に還元する!」そんな奇特な社長だったら、私はぜひそこでに職したい。
ただし、そんな高貴な人は妬まれ、足を引っ張られ、邪魔されて左遷されるでしょうけど。世の中、そういう仕組みになっていますから。
所詮、人は本音の部分では他人の成功なんて素直に喜ばないし、妬む習性があるでしょう?
そんな自分を変えたいとは思うけど、なかなかかっこいいドラマの主人公の様にはいかないね。
とか、ごちゃごちゃ考えても何も変わらないので、即行動あるのみ!
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釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。