
筆者撮影:7月初旬(中間地)
7月は珍しいピンク色のブルーベリー「フロリダローズ」、筆者の栽培している苗は収穫最盛期を迎えています。一般的なブルーベリーが紫色に熟すのに対し、フロリダローズは鮮やかなコーラルピンクに色づく画期的な品種です。
糖度15度以上の抜群の甘さと、酸味の少ない上品な味わいが特徴で、家庭園芸でも育てやすい優秀な品種として注目されています。現在の収穫状況から詳しい栽培方法まで、フロリダローズの魅力を徹底解説します。
目次
フロリダローズの品種特性
フロリダローズは、ラビットアイ系ブルーベリーの中でも特に希少な品種として注目を集めています。本品種の最大の魅力は、完熟時にピンク色に変化する美しい果実です。
一般的なブルーベリーが紫色に熟すのに対し、フロリダローズは鮮やかなコーラルピンクに色づくという画期的な特徴を持っています。種苗登録品種として知的財産が保護されており、今後もブルーベリー業界において重要な位置を占めると予想されます。
基本的な品種情報
系統:ラビットアイ系(Vaccinium virgatum)
原産地:アメリカ・フロリダ州
品種登録:種苗登録品種(知的財産保護対象)
栽培難易度:初心者~中級者向け
※登録品種のため、挿し木や接ぎ木などで増殖できません。
果実の詳細特性
フロリダローズの果実は、サイズと食味の両面で優れた特徴を持っています。中粒から大粒サイズで、高い糖度と独特の食感が魅力です。
果実サイズ:中粒から大粒(直径15~20mm)
果実色:完熟時にコーラルピンク
糖度:15度以上(アップルマンゴー級の高糖度)
酸味:非常に少なく、爽やかな甘さが際立つ
食感:ジューシーで種のざらつきが少ない滑らかな舌触り
2025年7月の収穫状況と管理
現在、フロリダローズは収穫最盛期を迎えており、適切な管理により品質の高い果実を収穫できる重要な時期です。この時期の管理作業が、収穫量と果実品質に大きく影響します。
収穫適期の見極め方
フロリダローズの収穫タイミングは、果実の色と触感で判断できます。適切な収穫により、最高の食味を楽しむことができます。
・濃いピンク色が抜けて桃のような白みを帯びた状態
・果実に軽く触れて簡単に取れる
・朝の涼しい時間帯での収穫が品質保持に最適
・表面に透明感が現れた頃が最適な収穫時期
完熟具合は慣れが必要で見極めが難しいですので、最初は実の色を見て食べて適期を把握しましょう。筆者は酸味が残るくらいが好きなので、ざっくり収穫しています。
7月の重要な管理作業
高温期の7月は、特に水管理と病害虫対策が重要になります。適切な管理により、健全な果実の収穫と来年の収穫に向けた樹勢維持が可能です。
7月の高温期は水切れに最も注意が必要な時期です。ブルーベリーは浅根性のため、土壌表面が乾燥しやすく、特にベランダ栽培では朝夕2回の水やりが推奨されます。もししおれるなら、底面給水なども検討しましょう。筆者の場合水やりがその日できない場合で鉢植えの場合は、晴天のときは受け皿をしたに敷いて水を入れることも。
栽培適性と基本的な育て方
フロリダローズは初心者にも育てやすい品種ですが、最適な栽培環境を整えることで、より良い収穫を期待できます。ラビットアイ系特有の強健性を活かした栽培方法を解説します。
栽培環境の条件
フロリダローズの栽培には、適切な環境条件を整えることが重要です。特に土壌条件と気候条件への配慮が必要です。
適地:関東以西の温暖地域
低温要求量:約300時間(比較的少ない)
土壌pH:4.3~5.3の弱酸性
日照:日向を好むが、夏季は半日陰も可
昨今の日本熱帯化のような気候なので、西日が強くあたる場合は寒冷紗で西日だけでも弱めることをおすすめします。特に鉢が暑くなると根が弱って腐る可能性もあるので、心配な方は真夏だけでも鉢をアルミシートなどを巻いて、強烈な直射日光を反射させて根を守ります。
樹の基本特性
フロリダローズの樹勢と収穫特性を理解することで、適切な管理計画を立てることができます。
樹勢:中程度
樹形:半開張性
収穫期:7月中旬~8月上旬
豊産性:収量性に優れ、家庭栽培にも適している
ブルーベリーのフロリダローズ、樹勢がかなり強い。ピンクレモネードと違って、安定して豊産性で枝数も多いので、なり疲れしにくいので初心者向き。 pic.twitter.com/eePpWJ69qt
— さくらかお 桜香 (@sakurakao888) July 8, 2025
植え付けと土づくり
成功する栽培の基礎となる植え付けと土づくりについて、鉢植えと地植えそれぞれの方法を詳しく解説します。
最適な植え付け時期
・暖地:9月中旬~12月上旬の秋植えが最適
・寒冷地:2~3月頃の春植えが推奨
ただし筆者の場合は、6月頃に購入しましたが問題なく栽培できました。苗についていた実はすべて摘果。
他品種との比較と選び方
フロリダローズの特徴をより深く理解するために、類似品種や一般的なラビットアイ系品種との比較を行います。この比較により、フロリダローズの独自性と栽培価値が明確になります。
ピンクレモネードとの違い
同じくピンク色の果実を持つピンクレモネードとの比較では、色合いと食味に明確な違いがあります。
フロリダローズはより淡いピンク色で上品な印象を与えます。食味面では、フロリダローズの方が酸味が少なく、万人受けする甘さが特徴です。収穫時期も若干異なり、栽培計画に影響します。
筆者の栽培経験では、フロリダローズの方が樹勢が強く生育は安定していると実感しています。また極めて結実しやすいのでならせ過ぎに要注意。
一般的なラビットアイ系との差別化
ティフブルーやホームベルなどの定番品種と比較することで、フロリダローズの商品価値が明確になります。
フロリダローズは視覚的インパクトと食味の両方で優位性を持ちます。特に観光農園や直売所での販売では、その珍しさから高い付加価値を期待できます。中~大粒でピンク色は目立ちます。
年間管理カレンダー
フロリダローズの栽培を成功させるには、季節ごとの適切な管理作業が重要です。年間を通じた管理スケジュールを把握し、計画的な栽培を行いましょう。
春季(3-5月):成長期の管理
春季は新芽の展開と花芽分化が始まる重要な時期です。適切な管理により、その年の収穫量が決まります。
・剪定作業(込み合った枝の間引き)
・春肥の施用
・花芽分化期の水管理
・病害虫の早期発見と対策
夏季(6-8月):収穫期の管理
収穫期は果実の品質維持と来年の花芽形成に向けた重要な時期です。特に水管理と収穫作業に注意が必要です。
・収穫作業の適期実施
・水切れ対策の徹底
・病害虫の予防観察(シャシャンボツバメスガ、ハマキムシ、イラガなどに要注意)
・適度な摘果による果実品質向上
秋季(9-11月):充実期の管理
秋季は来年の花芽充実と植え付けに適した時期です。この時期の管理が翌年の収穫に大きく影響します。
・来年の花芽充実期の管理
・植え付け適期の活用
・土壌改良作業の実施
・冬季に向けた準備作業
冬季(12-2月):休眠期の管理
休眠期は樹勢回復と土壌改良に最適な時期です。この時期の作業が翌年の生育基盤となります。
・寒肥の施用
・土壌改良の実施
・剪定作業の準備
・病害虫の越冬対策
病害虫対策と予防管理
フロリダローズは比較的病害虫に強い品種ですが、予防的な管理により更なる安定栽培が可能です。主な病害虫と効果的な対策方法を解説します。
主な病害虫と対策
高温多湿期に発生しやすい病害虫への対策は、早期発見と適切な処置が重要です。
イラガ:高温多湿期に発生、発見次第駆除
アブラムシ:新芽に発生しやすい、早期発見が重要
灰色かび病:梅雨時期の過湿に注意
予防管理の基本
予防的な薬剤散布よりも、環境管理による予防が効果的です。通風の確保と適切な剪定により、病害虫の発生を抑制できます。
収穫後の利用と保存方法
収穫したフロリダローズを最大限に活用するための利用方法と保存テクニックを紹介します。高糖度とピンク色の特徴を活かした様々な楽しみ方があります。
生食での楽しみ方
フロリダローズの高糖度と独特の食感を最も楽しめる生食での味わい方について解説します。
高糖度を活かし、そのまま生食するのが最も美味しい食べ方です。冷蔵庫で軽く冷やすことで、より爽やかな甘さを楽しめます。朝食のフルーツやデザートとしても最適です。
加工利用の可能性
ピンク色という視覚的な美しさを活かした加工方法により、より幅広い楽しみ方が可能です。
ピンク色を活かしたジャムやスイーツ作りにも適しており、視覚的な美しさから贈答用としても喜ばれます。冷凍保存も可能で、年間を通じて楽しめます。
保存方法
収穫後の適切な保存により、フロリダローズの品質を長期間維持できます。
冷蔵保存:収穫後2-3日以内に消費
冷凍保存:洗わずに冷凍庫で長期保存可能。食べきれないので筆者は冷凍庫に保存。
加工用:ジャム、ソース、スイーツ材料として活用
栽培の魅力と今後の展望
フロリダローズは観賞価値と実用性を兼ね備えた理想的な品種として、今後さらなる普及が期待されています。その魅力と将来性について解説します。
栽培者にとってのメリット
フロリダローズは初心者にも育てやすく、多面的な魅力を持つ品種です。
観賞価値と実用性を兼ね備えた理想的な品種として、ピンク色の果実は庭の彩りとしても楽しめ、高い糖度により生食での満足度が高いのが特徴です。ラビットアイ系特有の強健性により、家庭園芸でも安定した収穫が期待できます。
今後の展望と品種価値
種苗登録品種として保護されているフロリダローズの将来性と市場価値について説明します。
特に観光農園や直売所では、その珍しさと美しさから高い集客効果が期待でき、ブルーベリー栽培の新たな可能性を示している品種といえます。家庭園芸での普及拡大により、より多くの人がピンク色ブルーベリーの魅力を体験できるようになるでしょう。
フロリダローズは、美しいピンク色の果実と優れた食味を併せ持つ、次世代のブルーベリー品種です。7月の収穫期を迎えた今、その魅力を存分に味わえる絶好の機会です。適切な管理により、家庭でも十分に栽培可能な品種として、多くの園芸愛好家におすすめできる優秀な品種です。

釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。