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ブルーベリーど根性栽培のやり方【条件まとめ】

筆者の栽培するブルーベリーの株元の様子

ブルーベリーの「ど根性栽培」は、江澤貞雄さんが提唱した独自の栽培方法で、ブルーベリーの生命力を最大限に引き出し、無農薬で高糖度の果実を生産することを目指しています。

この方法は、特に日本の気候や土壌に適しており、多くの農家に採用されています。以下に、ど根性栽培の具体的な方法を数値化しつつ箇条書きでまとめます。

ポイント

  • 過剰な水分や肥料による根腐れを防ぐ栽培方法。
  • 初期投資を低く抑えられる。
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根性栽培のやり方と条件

この記事では、実際に栽培を行う場合のポイントと、管理条件などをまとめ最後に気になるデメリットも記載しました。

植え付け地の選定

植え付け予定地。
鹿沼土を若干、混ぜています。

  • 地面に直接植える(ピートモスなどの資材は使用しない)。
  • 植え付け穴のサイズ: 縦横80cm、深さ60cm。

植え付けは地面に植えますが、排水性が悪い場合は先に改善が必要。以前に畑などで野菜や果樹を栽培されている場所であれば、比較容易に栽培できます。ただし酸度は要注意。

植え付け穴は、かなり大きいので重機などで作業しないと人力では困難。土壌の現状によっては、この作業をしないと根張りが悪く初期成育がかなり遅くなります。

土壌のpH調整

ph測定の様子

  • ラビットアイ系ブルーベリーの場合、適正pHは5.8前後。
  • 硫黄粉をみそ汁のおわん8分程度(約50g)振り撒いてpHを調整。

肥沃な土壌の場合、ph6.5くらいかもしれません。phの調整は必須。研究ではラビットアイでもph6.5を超えると、1~2年ほどで生育が悪化して枯れる個体も。

参考 研究論文まとめ

肥料の施用

  • 年に1回(冬季)菜種かすをみそ汁のおわん1杯分(約100g)施肥。
  • 肥料は過剰に与えず、木がゆっくり成長することを重視。

肥料が高騰しているので、無肥料ではないが少量で抑えられるのは魅力的。また施肥回数も1回と作業の手間がかからない。

水やり

  • 植え付け後は水やりを一切行わない。してはいけない。
  • 株元には竹チップやウッドチップでマルチングし、乾燥を防ぐ(厚さ10cm以上)。

ブルーベリーは乾燥に弱いですが、排水性が悪いと根腐れしやすい果樹で難易度は意外と高い。

猛暑で雨が数週間降らないケースでは枯れるリスクが増しますが、水やりし過ぎで枯れることも多いので、干ばつ、異常気象ではない前提ですが水管理を自然に任せる手法。

マルチング材

  • 使用するマルチング材:竹チップまたはウッドチップ。
  • マルチングは土壌の保水性を高めるために重要。

基本的に水やりしないので、マルチング材は必須。近年は熱帯のような気候なので、高温から浅根を守る必要性もでてきています。また雑草対策にもなります。、小苗のうちは雑草に負けてしまいますが樹が大きくなれば草生栽培(上部を適当なところで刈り取り)を取り入れても良いかもしれません。

成長期間

  • 成長には約3年かけて、強い根を育てることが目標。
  • 初年度は特に注意深く観察し、必要に応じて管理を行う。

ブルーベリーは、土壌がその品種に適合していないと初期成育が遅い場合があります。また小苗のうちは、虫に食害されたり地域によっては野うさぎなどに新芽を食べられる害獣被害等の対策も必要です。

農薬の使用

  • 農薬は使用せず、自然の生態系を活かす。
  • 病害虫に強いブルーベリーの特性を活かす。

ブルーベリーは病気や害虫が少ないと言われますが、カミキリムシやシャシャンボツバメスガ、イラガなど様々な害虫が発生します。小苗のうちは葉を食害されると、初期成育が極端に遅くなるので定期的に被害の確認、巡回は欠かせません。これはど根性栽培に限らずです。

YouTube 『数藤農園〜ブルーベリーの森〜』さんの参考事例。

参考 2023年 ブルーベリー栽培の大失敗 part1

筆者の経験では、天敵、カマキリやトカゲなどがいても、被害をゼロにするのは難しいので、作業される場合には長袖、手袋はした方が安全です。とくにイラガは刺されると痛い。

近くにぶどうなどを植えたらコガネムシがかなり集まりました。特に早朝の定期巡回は必須。これはど根性栽培に限らずですが。

ど根性栽培のデメリットと注意点

  1. 土壌や栄養の問題
    土壌の質が悪い場合、成長が遅れる。
    土壌pHが適切でないと根や果実に悪影響。
  2. 水やりの問題
    水やりを行わないため、乾燥時に枯れるリスクが高い。
    夏場や雨が少ない時期は果実の成長に影響。
  3. 果実の品質問題
    果実が特大化しやすいが、雨で割れることがある。
    収穫量が減少する可能性。
  4. 技術依存の問題
    栽培者の経験や技術が必要。
    初心者には難易度が高く、成果が出にくい。
  5. 病害虫のリスク
    農薬を使用しないため、病害虫の影響を受けやすい。
    抵抗力が弱い場合、収穫量が大幅に減少する可能性。
  6. 地域の協力体制
    一般的な栽培方法と異なるため、周囲の理解や協力が得られにくい。
    孤立するリスクがある。
  7. 収益性の問題
    木の成長に時間がかかるため、短期的な収益を期待する農家には不向き。
    初期投資が必要な場合、リスクが高い。

筆者が特に気になるのが昨今の異常気象。日本熱帯化といえるくらいの、酷暑、猛暑日が連続で続き降雨がない日が数週間続く現状。

地下水が低い土壌や排水性が良すぎる場所、数週間~1か月以上雨が降らない干ばつの時には、水やりの必要があるかもしれません。特に植え付けて1~2年で、根張りしていないと危険。

たまたま土壌環境が良く、比較的涼しい山間部等の地域で雨も降りやすい地域で成功しているだけの可能性もあります。商業的に行う場合には、植える土地の調査は欠かせません。個人の趣味の園芸レベルであれば、自宅の庭なら自動潅水を導入しても1万数千円で自作もできます。

土壌環境や生育する場所の条件に依存するところも大きいので、デメリットも把握して前もって対処法をまとめておくのがおすすめ。

水田跡地などでは適さないことが多いですが、成功事例もあります。今の土壌の現状、現地調査が欠かせないでしょう。

YouTube『ブドウとワイン。TAKEI-FRUITS-WORKS」さんの参考事例。

参考  ブルーベリーは地植えで育つのか?(水田転換園、土壌改良なし)

ブルーベリーど根性栽培まとめ

この栽培法は、ブルーベリー本来の生命力を引き出し、甘みが強くて濃い味の果実を育てることが期待されます。江澤貞雄さんが提唱したこの方法は、日本の気候や土壌条件に適応した新しい農業スタイルとして、徐々に広がりつつあります。

ただし、ど根性栽培は一部の農家には魅力的ですが、リスクも高い。特に新規就農の方は失敗のリスクを自力で防げるのかが課題。趣味栽培であれば、コストがかからないので試してみる価値は大きいと思います。

下記は農林水産省でダウンロードできる資料です。

参考 果樹農業の現状と課題について―農林水産省のPDF

下記より、果樹関連の議事録も閲覧できます。

参考 果樹・有機部会(旧 果樹部会):農林水産省

仕事で栽培されるケースでは、土壌や気候条件の理解と適切な管理が重要。かなり上級者の手法と言えます。すでにブルーベリー栽培で経験を積んでいる方であれば、ど根性栽培で不具合があった場合でも対処はできるでしょう。

初心者の方がいきなり、この手法を導入される場合には失敗の可能性が高いので、経験者からしっかりと指導を受けるのが安全だと思います。初期投資の低さや、環境に良さそうという漠然とした理由だけで導入するのは避けた方が無難です。

参考 ブルーベリーの栽培(ラビットアイ種・ど根性栽培) – 一般社団法人 日本ブルーベリー協会

参考 4ヘクタールを枯らす大失敗から導き出した、常識を覆す“完全無農薬・ど根性栽培”ブルーベリー!!|マイナビ農業

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