ブルーベリーの接ぎ木に使われる台木は、ホームベルが真っ先にあがります。近年はフェスティバル等も。
栽培者が選ぶ理由としては、次の2点。
- サッカーが出やすく木を更新しやすい。
- 台木負けしにくいこと(台木のおすすめ理由は経験 後述)。
どちらに重点を置くかで、剪定する台木は変わります。注意したいのは、一般的にブルーベリーの台木はラビットアイ系から選ぶという前提があります。実はまだ接ぎ木の歴史が浅く、台木選びはこれから変わる可能性もあります。それを考慮してこの記事にまとめています。
接ぎ木のバランスが大切。
穂木が太くなると見た目が悪くなるだけでなく、成長にも影響します。穂木の樹勢が強すぎると、根が必要な栄養を吸い上げきれず、バランスが崩れてしまいます。これは成長期の子どもが十分な食事を取らずに栄養不足になるのと同じです。
ブルーベリーの木も同様で、成長したくても根からの栄養が足りず、息切れ状態に。そんな状態で実を多くつけたり、無理に成長させようとすると、最悪の場合は枯れてしまいます。
つまり根っこ側の台木のパワーが重要。ラビットアイ系で樹勢が強く、木も太くなる品種が台木としておすすめされています。
※注 個体差はあります。
目次
台木の選び方
一般的にラビットアイ系が台木に選ばれるのは、次のメリットは主に4つ(こちらの内容は経験と一般的な内容も含まれています。
- ラビットアイ系なら、phが6.5までなら何とか栽培できる。土壌phの許容範囲が広い。
phは6.0以下に抑えたい。ph6.5以上のアルカリよりの環境で栽培すると、ラビットアイ系でも枯れたり弱るリスクが増す・・・というか、2品種、枯れてしまいました。
- 収量が増す。枯れにくくなる。
樹勢の弱い品種や、枯れやすいと言われる品種は、実を成らせ過ぎると一気に弱り枯れやすくなる。例えばミスティ、ブルーレイ、サミットなど。
- 暑さに強くなる。
- 大きな台木に接ぎ木すると、年内には1m以上も成長して翌年には収穫可能に。
その他にも病害虫に強いと噂されますが、ラビットアイでも、病気にもなりますし虫にも葉が枝を食害されますので、あまり期待されない方がいいかと。
ラビットアイ系以外の台木も、近年注目されています。
ノーザンハイブッシュ系の活用法
ブルーベリーの接ぎ木では、一般的にラビットアイ系が使われますが、ノーザンハイブッシュ系も有効な選択肢となる場合があります。特に「デキシー」などの品種は、高品質な果実を生産するため、台木としての適性が高いとされています。
趣味の園芸なので、いろんな可能性を試してみても良いのではないかと考えます。
(ノーザン)ハイブッシュ系の台木を利用するメリット
この記事の内容は、一般的な内容を筆者なりに理解してまとめたものです。
✅ 寒さに強くなる・・・かも
ノーザンハイブッシュ系は寒冷地での栽培に適しており、冬の低温にも耐えられる特性を持っています。ラビット系を接ぎ木しても、台木ほど耐寒性を獲得できるわけではないので防寒対策は必須だと思います。レモンも耐寒性の高い台木に接ぎ木しますが、寒さで枯れないわけではないです。
✅ 果実の品質向上
この系統のブルーベリーは甘みが強く、大粒で品質が高いため、収穫後の満足度が向上すると思われますが、味音痴の筆者が味に差異を感じるかは不明。
✅ 異なる土壌条件に適応
ラビットアイ系とは異なる土壌環境にも対応できる可能性があり、気温、気象条件等、地域ごとの栽培条件に合わせた選択が可能です。各自の環境にあうのか、テスト栽培は必要だと思います。
✅ 品種の多様化
異なる台木を利用することで、多様な品種を育成でき、収穫の幅が広がります。スペースがないところで、複数の品種が楽しめる。
✅ 長く収穫を楽しめる
例えば早生品種の台木を4本仕立てにして、2本にだけ晩生を接ぎ木すると、時期をずらして長く収穫できる。また梅雨や猛暑の影響を考えて、その土地のベストなタイミングで収穫できる品種に統一するのに接ぎ木で揃えられます(台木はバラバラでも、例えばすべてミスティを接ぎ木するとか)。
ノーザンハイブッシュ系のおすすめ品種
📌 デキシー – 大粒で甘みが強く、果実の味が良い。
📌 エリザベス – 豊かな香りと濃厚な味わい。
📌 ブルークロップ – 安定した収穫量と育てやすさ。
📌レイトブルー 酸味が効いた最晩成。
また、ノーザンハイブッシュ系は花芽の発生が良好で、実付きの良さも魅力の一つです。初心者にも扱いやすい品種が多いため、これからブルーベリー栽培を始める方にもおすすめです。
このようにラビットアイ系以外の台木も、接ぎ木するときの候補にしても良いかもしれません。
ここからはラビットアイ系の台木を使う前提で、筆者が良く使う台木について紹介します。
フェスティバルが台木として優れている点
- フェスティバルは木が太くなる。台負けしないわけではない。
- サッカーがでにくい。
- 樹勢が強い。
- クロロシスになりにくい。
- 入手しやすく価格も普通で、挿し木もしやすい。
台木として見た場合、欠点が見当たらないのでブルーベリーの接ぎ木としておすすめされる理由が分かります。
- フェスティバル(T172)台木の優れた点(外部サイトでSSLされていないサイトです)
しかし最近は、ちょっと様子が異なるようです。
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このあたりは栽培環境にもよるかもしれません。
台木の候補
ネット上では様々な台木が提案されています。それらを1位から順位にまとめてみました。左から順におすすめどが高くなっています。
- 1位 フェスティバル > ティフブルー > ホームベル
- 1位 ティフブルー >ブルシャワー > ホームベル=パウダーブルー
- 1位 ホームベル > ティフブルー > ブルーシャワー
- 1位 デライト・バルドウィン・ティフブルー>ホームベル
ご覧いただくと分かると思いますが、台木としておすすめされているのが人によってばらついています。
台木剪定の考え方として、もし接ぎ木が失敗しても大丈夫なようにラビットアイ系の中から、勢い(同じ品種の中でも強勢な苗)があって、自分が食べて美味しいと思った品種を台木に選ぶ方法も(ブルーベリー狩りにいって、美味しい品種を選ぶ方法があります)。
YouTube『アントニオ』さんの【神回・後編】ブルーベリーのプロによる接木の台木のお話、と旅の総括という動画がかなり参考になります。
参考
- 【神回・後編】ブルーベリーのプロによる接木の台木のお話、と旅の総括(YouTube)
- 【知らなきゃ損】ブルーベリープロ農家が接木苗の管理方法と接木しない理由を実演・解説(YouTube)
- ブルーベリーの接木の台木には何がベストか??(外部サイト)
つまりここでおすすめしたフェスティバルは、別の人からみたら違う可能性があるので、あくまでも一例と考えてください。
鉢植えするなら台木は、ここで紹介したものならあまり気にならないかもしれません。
ホームベルは、一般に広く台木として活用される品種。サッカーが出やすく管理が大変とは言われますが、鉢植えやそもそも管理が苦にならない方や、サッカーに接いで増やしたい方であれば、ホームベルが最適。
定期的に木を更新する目的ならホームベル。いずれにしても接ぎ木は、木がまだ小さいうちは強風対策は必要。添え木などは必須。
ブルーベリーもカミキリムシの被害を考えると、頻繁に更新できるホームベル、良いかもしれません。
まとめ:ブルーベリーの接ぎ木の台木のおすすめ
- フェスティバル
- ティフブルー
- デライト
- バルドウィン
- ブルシャワー
- パウダーブルー
- ホームベル
上記品種でも個体差があるので、元気な勢いのある苗を台木に!
フェスティバルやホームベルは近くのホームセンターで簡単に入手できて、お値段もお手頃でしたので購入しました(定番すぎて、最近は販売店が避けているのか、みかけないことも)。とりあえず上記の品種から選べば、趣味の園芸レベルでは十分かと。
購入されるときは、もしかしたら実付きの苗かもしれません、とりあえずすぐ摘花・摘果して樹勢の回復に努めましょう。
できるだけ樹勢の強い苗を選び台木にします。いくらラビットアイ系で挿し木されたクローンとはいえ、栽培環境等によって個体差がどうしてもでてきます。
台木候補の剪定枝等を使い、挿し木して増やすのも楽しい。。もしすでにお持ちなら、挿し木して苗を増やし台木としておすすめします。その場合は、できるだけシュート(徒長枝)の6~8mmくらいの太くて若い枝(15~20cm程度)を使うと、早く接ぎ木できます。その中から勢いのある苗を台木候補して育てます。
急ぐ方は苗を購入して、1本を台木に使うのが早い。
いずれにしても樹勢が強く土壌適応力の高いラビットアイを台木にして、ハイブッシュや栽培が難しい品種、たとえばスパルタンやサミットなどを接ぎ木すると、育てやすくなるので試す価値はあると思います。
接木で1本の木に2品種ばらせる方法も。下記の動画の10分28秒から、1本の木に2品種を実らせています。鉢植えでも応用できます。
参考 【神回!ブルーベリー】栽培技術をシェアします!樹齢40年のブルーベリーは至高の果実だった!
収穫時期をずらして、長く食べることができます。この方法、真似したい。
形成層が狭く、接ぎ木の難易度は初心者には高いと言われています。数をこなすしかありません。何でも練習は必要ですよね。下記は接ぎ木の基本について解説してる記事です。
※挿し木して樹勢の強そうなラビットアイの苗、品種名に関係なく(さし木中にトカゲに荒らされて混ざった苗等)台木にしてみようかな。

釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。