ブルーベリーの接ぎ木苗(論文では、挿し木接ぎとの表記あり)を、大量に、早くつくるため、接ぎ木挿しが編み出されのだと思いますが、私のような素人にはデメリットの方が大きく、あまり向いていない難易度がかなり高めのやり方でした。
目的が接ぎ木なら、別の方法を検討した方が早いかもしれません。
接ぎ木挿しのデメリットと解決策
ブルーベリー栽培初心者が、接ぎ木挿しをする、一番大きなデメリットがこちら。
- 太い台木を用意できない。← 大きな苗を買えば解決します。
- 失敗する確率が高い。← 練習、数やらないと上達しません。
そもそもブルーベリーをホームセンター等で購入される場合、苗は2~3年生くらいではないでしょうか?
たとえば下記のような小苗。
一般的にホームセンターで流通している苗は、価格でいうと398~1000円(2~3年生)程度だと思います。この価格帯の苗は、枝が細く接ぎ木挿しの台木として使うには、主軸をばっさり切って使うしか方法がありません。
それで確保できる台木用は、とれたとしても数本くらいではないでしょうか?普通は枝が細くて使えません(成功率・活着率を高めるためには、太さは6mm程度は欲しい)。細いと栄養分が足りなかったり、穂木が乾燥しやすく失敗しやすいようです。
接ぎ木挿しは有名どころのベテラン(先駆者)で、成功率9割との声(極めれば高くはなるみたい)。台木と穂木の組み合わせによっても異なりますが、初心者がやった場合は良くて2~3割、悪ければ全滅というのは想定内。YouTube等でも発信されています。
失敗の確率を想定すると、最低でも10cmくらいの6mm前後の穂木が5~10本は必要になりますが、そんな穂木を準備するのは困難です。そもそも台木用に充実した枝を10本も用意できる方が難しい。あくまでも前提は、栽培初心者の場合です。
接ぎ木挿しより挿し木と接ぎ木
私は超難易度の高い接ぎ木挿しではなく、まずは挿し木をします。
挿し木で増やしてから、その苗に接ぎ木。あるいは苗を1年、大きくしてからその苗を使い接ぎ木します。
下記の苗は3年生苗(冬)の状態。春になれば4年生相当の苗に。
これくらいの枝の太さになれば、接ぎ木できます。798~1000円の苗を1年も育てれば、十分な大きさになります。
もっと高い位置で接ぎ木する高接ぎですと、実を採れるまでの期間が短縮できますし、失敗したら切り直してやり直せます。柑橘系でよく目にするやり方です。また枝別れ(分枝)していれば、もう片方でも接ぎ木できます。
ホームセンターで、安くて主軸が太い元気そうなラビットアイ系(フェスティバル、バルドウィン、ティフブルー等、なければホームベル)を購入し、接ぎ木する方が早い!
主軸を10cmくらい残して剪定。その苗を台木にして接ぎ木。この方法がもっとも早い(接ぎ木苗もちらほら販売はされています)。
剪定して出た枝を使って挿し木しておきます。万が一、失敗したときの予備、バックアップになります。2~3年後に接ぎ木の練習用の苗にもなります。
すでに発根している台木に接ぎ木するので、成功率は高くなりますし、1000円くらいの苗を使えば、上手くいけば2年後には収穫できるくらい大きくなる可能性も。
接ぎ木挿しの難しいのは、接ぎ木と挿し木を同時に行うため時間がそれぞれ個別で行うよりも、時間がかかるから。
- 接ぎ木に時間がかかる。
- 挿し木だけより発根するまで時間がかかる。
接ぎ木挿しだと、早くて収穫は3年後くらいになりますが、大きめの苗を使って接ぎ木を行えば、来年には収穫できますので年数を短縮できます。
もし接ぎ木に迷ったら、とりあえずラビットアイ系の398円くらいの苗から、勢いのありそうな苗を選んで購入して育てておくと後から接ぎ木できます。1年で、1000円くらいの苗に成長します。
800円くらいの苗だと、勢いのある苗なら数本のシュートや徒長枝と呼ばれる太い枝が生えてきて、それを使って来年に接ぎ木挿しできます。下記の矢印の先の枝のようなもの。
接ぎ木挿しのメリット
接ぎ木挿しのメリットは以下のポイントになります。
- 剪定して捨てるはずの枝を台木にできれば、失敗のリスクはほぼなし。
- 成功した苗だけ育てればいいので、場所をあまり必要としない。← 省スペース化。
- 接ぎ木の練習になる。← この意味は大きいと思います。
- やってみたいという意欲が満たされる。← 私がやりたい一番の理由。
- 挿し木や接ぎ木レベルが上がる。← 水管理が上達しそう。
これらのメリットを考えると、台木さえ確保できれば接ぎ木挿しをやらない理由がないかも・・・と、結局は接ぎ木挿しをおすすめしてみる!
まとめ:接ぎ木挿しより接ぎ木
初めての接ぎ木は、大きめの苗で分枝している苗木で高接ぎをおすすめします。
接ぎ木挿しをやりたいのか、接ぎ木して早く実を食べたいのかで変わります。そもそも接ぎ木挿しは、量産が主な目的。増やしても植える場所がない場合は、普通に接ぎ木で事足ります。
『とにかく接ぎ木挿しを、やってみたい!』という方は、やってみてください。私は栽培が難しいと言われるサザンハイブッシュ等の品種を、ピートモスの量を減らして庭で早く大きく育てたいので、ラビットをまずは育て後から接ぎ木します。2~3年後に収穫したいので。
栽培農家さんと違い、そんなに大量に育てる必要がないので、私は台木用に苗を購入した方が早いと思います。
接ぎ木挿しを否定はしない
挿し木を大量にしてしまったので、接ぎ木できそうな苗が大量につくれそうです。2月の接ぎ木シーズンになったら、とりあえず練習で地植えしたラビットアイ系の木の枝の1本に、枝の高い位置に接ぐ、高接ぎをしてみようと思います。
ちなみにラビットアイ系のブルーベリーを地植えしたので、来年は接ぎ木挿しできそうな枝が、たくさん出てくると予想して楽しみにしています。
木さえ大きくできれば、余裕で接ぎ木挿し用の枝を確保できます。実は私もやってみたいですから!
※注 挿し木の成功率は9割程度。成功した挿し木苗を数えたら150本くらいになっていました。増やしすぎ注意。
ブルーベリーの挿し木は、発根こそ時間がかかりますが、素人の私でも初めてやったとき成功率が高すぎて簡単すぎると感じました。
サザンハイブュシュ系でも、摘果・摘花をしっかりして、畔板プランターで高畝にしてピートモスと鹿沼土1:1で栽培すれば、枯れにくいと思います。
釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。