ブルーベリーの挿し木は、年中可能だと思います。寒くなる時期は室内で挿し木できます。寒さに弱いレモンでさえ室内なら挿し木できるので、ブルーベリーも温度と湿度、日光があればOK。
この記事の内容は趣味の園芸を楽しむ私の考え方が出発点ですが、研究論文なども参考にしながら実際にブルーベリーの挿し木に取り組んだ内容です。引用・参考元も記載しています。
挿し木する穂木(挿し穂)の太さについて
太いほど、発根後の生育は活発で成長が早い(木が高くなる)と言われていますが、マッチ棒ほどの細い枝でも、挿し木はできますし苗は大きくなります。
大きくなります!
そもそもブルーベリーの種から生えた苗は、めっちゃ小さいですよ。それが大きくなるのですから、小枝も大きくなります!
ただプロ農家からしたら、太い枝から育てた方が確率的に早く大きくなるのを実感しているから、わざわざ細い枝を使わないだけ。買ってきたばかりの小苗は、そもそも太い枝はもったいなくて切れないですからね。
プロの栽培農家さんは使わないですが、私のように買ったばかりの苗で予備を作る目的なら十分です。ちなみに成功率は9割くらいは成功したと思います。とにかく成功しすぎて置く場所がなくなるくらいに(成功したのは百数十本)。
いろんなブルーベリーの挿し木をしましたが、小苗でもやってみました。下記のような400円前後で売られていた苗、実を摘果して細いマッチ棒ほどの剪定してでた穂木を挿し木しました。
なお、パテント品でなくとも、契約で縛られている品種もあるのでご注意ください。
このように剪定してでた枝で、休眠挿しや緑枝挿しをやると、リスクはほぼないと言っても良いのではないでしょうか。苗自体が2~3年生で細い枝(マッチ棒程度)が多いですが、挿し木自体は問題なく成功しています。
5月に挿し木すると、ざっくりとした感じですが8~9割近くは成功していると思います。10本やれば・・・植えるところがないくらいの苗がでてき、鉢上げするときに良いものを厳選できます。私の場合、苗を増やすというより枯れたときのバックアップ用。
この挿し木、昨年の枝を使うけど休眠挿しではないけど、今年の枝ではないので緑枝挿しとも違う気がします。旧枝挿し?旧枝緑枝挿し?
ちなみにブルーベリーは、10年近い古い枝でも発根は遅いけれど、挿し木に使えるという研究があり、発根率も実用上問題ないとのこと。
根拠
新技術名:ブルーベリー(ブルーレイ)の挿し穂は枝齢を経た休眠枝も有効(平成15~16年)
研究機関名 果樹試験場鹿角分場
担 当 者 浅利正義 様
リンク先:https://www.pref.akita.lg.jp/(美の国あきたネット)秋田県公式ウェブサイト
このページの検索窓で『ブルーベリー(ブルーレイ)の挿し穂は枝齢を経た休眠枝も有効』と入力して検索すると、該当するPDFが表示されます。
トップページ以外へは、許可を取らないとだめみたいなので申し訳ございません。
この研究によると、6~12年枝の古い枝でも活着率は、実用上問題のない76.5%。総新梢伸長量(枝が伸びた長さ)は、むしろ高い成長を示している写真が掲載されています。おそらくですが、枝が太く栄養をたっぷり蓄えられているからだと考えられます。
このことから剪定した古い枝も、挿し木として十分に使えることが分かりました(品種等によって異なる結果になる可能性あり)。発根までは古い枝は遅い感じですが、根が出始めたら幹の栄養を使い、どんどん成長すると推測。
剪定した捨てる枝なので、リスクはほぼないでのでお試しください。
挿し木の時期
ブルーベリーの挿し木は、時期によって2つの種類があります。
- 1つは、プロの栽培農家さんは2~3月くらいから、枝に葉がついていない枝で挿し木をされます。これを休眠枝挿しや休眠挿し、旧枝挿し等と呼ばれています。
- 2つ目は、新穂が伸び少し葉が硬くなった葉っぱ付きの枝を挿し木する、緑枝挿し。
時期に応じて、この2種類の挿し木が一般的。
私のおすすめは3~6月まで。7月以降に挿し木すると、発根してから(9月以降)の気温が低くなり、成長が極端に悪くなりますので、おすすめは3~6月頃、遅くとも梅雨が終わる前まで。
初めて挿し木される方は、5月中がオススメ!
できればゴールデンウィークくらいまでに挿し木すれば、年内中に20~30cm以上の高さになる苗もでてきます(後述)。
挿し木の時期によって違いがありますが、3月頃に挿し木すると発根までに3か月ほどかかりますが、5~6月頃に挿し木すると早ければ2か月で発根しているのに気づきます。個体差や品種によると思いますが、緑枝挿しは1か月過ぎたくらいから根が出始めているかもしれません。
挿し木の様子
例えば5月の中旬に挿し木したら、3~4か月後(発根は2か月はかかる)にポットの底に根がでていたら植え替えします。私は2か月過ぎたら2週おきに底をチェックして発根を確認しました。
2か月過ぎるまでは挿し木は動かさない方が良いと思います。動かすと、発根し始めていた根が切れる恐れがあるからです。
同様に風で挿し木苗が揺れないように、風よけは必須。私は背の高いプランターに置いて風よけしています。
私の場合、生育の良い苗を選抜して植え替えてからも支柱をして、風で苗が揺れないような対策をしています。根が切れて成長が遅れるのは嫌ですから、念のための対策です。
鉢増しと水の管理
鉢増しとは、いま植えている鉢やポットなどを1~2回り大きくして植え替えること。
挿し木の場合、発根してから根が伸びて、例えばポットの底に根が出るくらいになると、植え替えします。
根っこがポットにしっかり回ってから(根鉢という)、植え替えると更に失敗が少なくなりますが、私は根鉢ができる前に植え替えします。その方が成長が早いと感じています。
ただこの方法は、栽培農家さんは数が多く大変なので避けられているようです。私はせいぜい数十鉢なので、挿し木の延長みたいな感じで管理できるのでやっています。
注意ポイントは、植え替えてから1か月くらいは水管理に注意が必要なこと。
- 最初の10日くらいは毎日、朝夕の2回、水を与える。
- 10日~1か月くらいは、朝か夕方に水を1回たっぷり与える。
- 2か月~は、表面が乾いたら水をたっぷり与えます。
根っこは、乾いき始めたとき、乾いた状態で水を与えたときに根が伸びやすいので、挿し木のときみたいに加湿になるのは避け、適度に乾いたり湿ったりを繰り返す状態にすることで、根が早く長く伸びていきます。
ちなみに趣味の園芸は、挿し木の数が少ないので、ポットを静かにも持ち上げて軽くなってきたら水を与えるようにすると失敗しないと思います。注意点としては、枝を動かさないようにということ。あまり動かすと、せっかく伸びた根が切れてしまいます。
成長の様子
5月10日に購入して、植え替え時に剪定したラビットアアイ系のフェスティバルの様子。
下記の画像を見ていただければ分かりますが、こんなに細い貧弱な枝でもそれなりに大きくなります。
少ない挿し木の本数であれば、発根後、2か月おきに1サイズ、大きめの鉢やポットに植え替えると成長が早くなりました。もちろん根鉢ができていないので、そのままそっと植えます。
写真は12月8日。約7か月後様子。高さは30cm程度です。おおよそ20~30cmの苗に育っています。もとは細い枝だったのもですよ。
下記は株元の様子で、左のマッチ棒程度の細い枝が挿し木した穂木で、右の枝が30cm程度になったシュート。
よくマッチ棒の細い枝は、挿し木には適していないと言われますが、挿し木適期にやってみたら、意外と大きくなるのが分かりました。
ブルーベリーは根量さえ増えれば、株元から太く強いシュートが出やすい品種もあるので、太い穂木がない場合には、剪定した細い穂木でもやってみるのはアリだと思います。
私は苗の成長が良いものは来年、8号鉢に植え替えようと思います。
7月以降に挿し木しても、発根までは間に合いますが小苗のまま年を越すことになります。下記は、サザンハイブュシュ系で、ピンクの花がきれいなサンシャインブルーの12/6日の様子。
ブルーベリーは品種によっては、このように小さな小苗でさえ花が咲きます。まだ3cmくらいしかないのですが・・・
ちなみにこのまま育てるより、強剪定した方が強いシュートがでて早く大きくなりやすい。詳細は下記にまとめています。
まとめ:ブルーベリーの挿し木と時期
年内に大きくしようと思ったら、5月上旬に挿し木するのがおすすめ。
夏野菜の種まきでよく例にだされますが、寒い地域は桜の咲く頃を目安に、挿し木をすると失敗しにくいと思います。
もし遅霜が心配な方は、不織布などをかぶせて対策された方が無難。ゴールデンウィーク以降であれば、寒い地域でも挿し木ができるのではないかと思いますが地域差が大きいのであくまでも挿し木は目安。
分かったこと
まっち棒サイズの枝でも、発根すれば大きく育つ。根がポット内にしっかり回れば、蓄えた栄養を使い、太いシュートがでてくるので、パッチ棒サイズの枝でも太い苗は育てられます。
太い枝があれば成長が早くなり良いですが、398円の小苗の剪定枝でも挿し木は、問題なくできることが分かりました!
マッチ棒ほどの枝で挿し木したのは5月。
12月になれば、これだけ大きくなりました。
何万本も挿し木を管理されているプロの方と違い、
少量なので管理しやすい。
なお落葉したら、私の場合は下から10cmくらいで剪定しました。
こちらも読むと、挿し木1年目の剪定など更に詳しくなります。
釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。