子供がいない、一人暮らしのおばさんが、認知症になりました。
高齢化社会というけど、所詮は他人事。
「何とかなる」と考えていたのかもしれません。
ところが身近で、ある出来事があって、真剣に考えるようになりました。
一人暮らしで認知症になったら、どうなるの?
親戚のおばさんは、おじいちゃんの兄嫁で、子どもがいなかったので、私が物心ついた時から、孫のように可愛がってくれました。
5年前おじいちゃんの兄が亡くなってからも、たった1人で生活していて、いつも笑っている前向きな人でしたが・・・
2年前に1人では心配だからと施設に入ってからは、少しずつ認知症が進んでいました。
きっと1人での生活は苦でもなく、施設で何もやることがなく毎日を送ってきたことが、認知症が進んだ原因だと、私は思っています。
そのおばさんが施設で倒れ、救急車で運ばれて緊急手術になった時、なんとか命は助かりましたが、声を失いました。
病院では、ベットで寝ているだけなので、
「今日は何日で、何曜日なのか?」「春なのか?」
季節もわからなくなり、病院にいることや施設にいたことも、次々と忘れてしまいました。
私は無力
私には何もできません。何をしてあげたらいいのかも...。
おばさんのお見舞い。施設では面倒がみれなくなったので、病院に入院したままになっていました。
でも病院も期限があり、出ていかなくてはいけませんでした。
おばさんには、帰る場所がない。
違う病院を転々として、今は私の家の近くにある病院にいるので、母と一緒にお見舞いに行ってきました。
ひさしぶりに会うおばさんは、今まで見たことがないくらいやつれていました。
いつも笑顔だったおばさんの面影はなく、なんだか知らない人のお見舞いに来たような、何ともいえない感覚に陥りました。
もう私のことも覚えていないようで、不思議そうに私を見て、少し怯えているようにも感じました。
同じ病室にいるおばあちゃんたちも、ただ死が訪れるのをベットで待っているだけのように・・・
おばさんもその1人のような気がして、なんとも言えない感情で押し潰されそうになりました。
私は自分の無力を感じています。
明るい未来はあるの?
あと何十年かしたら、人工知能やiPS細胞など科学技術や医学が進歩して、認知症や介護の問題は克服されるかもしれません。
そんな、明るい未来を夢見ても、いま、あのおばさんを助けることも、寄り添うこともできません。
おそらく、私よりも更に深刻なご家庭もあります。
奧さんが認知症で、自分も認知症の疑いがでてきて・・・・
未来は分からないけど、いま困っている人がいるけど、誰も何もできない。
この心のなんとも言えない、もどかしさが、いつも心のどこかにひっかかっています。
人の問題と、いまもう1つ、深刻な問題が。それは残されたペットの問題。
問題山積みの社会。国や市町村の責任にしても、解決できない・・・
文:さくら
釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。