
筆者撮影:しおれたイチジク
イチジクを黒ポットで育てていると、真夏に突然葉がしおれてしまうこと、ありませんか?
「水はあげているのに…」「日差しが強すぎる?」と原因がわからず、実がつく前に枯れてしまうケースも少なくありません。
実は、黒ポット栽培には温度上昇・水分管理・根のストレスなど、地植えとは異なる注意点があります。
真夏でもしおれず元気に育てるための工夫を、遮熱・水やり・肥料の視点からわかりやすく解説します。
目次
黒ポット栽培の夏対策
黒ポットでイチジクを育てると、真夏に葉がしおれるなどのトラブルが起こりがちです。これは、黒ポット特有の環境が原因で、地植えとは異なる管理が求められるためです。
温度上昇、水分不足、根へのストレスなどに注意しながら、遮熱・水やり・肥料管理を工夫することで、夏でも元気に育てることができます。
黒ポット栽培のメリット
まずは、黒ポット栽培の特徴を整理しておきましょう。
- 移動が簡単で、日照や風通しを調整しやすい
- 根の成長をコントロールしやすく、コンパクトに育てられる
- 限られたスペースでも果樹栽培が可能
ポリポット(ポリ鉢)は、大きなサイズもあり価格も安価なことから、予備苗などに最適。筆者は、イチジク、ブルーベリーなどの予備の苗に使っています。
黒ポット栽培の注意点
- 黒ポットが直射で高温化(根温40℃以上)。
- 容量が小さいため水分変動が激しく、過湿と乾燥を繰り返す。
- 根詰まりや肥料焼けのリスクも高く、管理が繊細
真夏のしおれ対策
- 二重鉢(内鉢+外鉢に断熱材や鉢カバー)。
- 白鉢・遮光資材で鉢温を下げる。
- 風通しの良い棚上に設置。
- 夏は朝・夕に水やり、日中の灌水は避ける。
黒ポット栽培で最も注意すべき季節が「真夏」。
高温と乾燥が重なるこの時期に、イチジクを元気に育てるためには、ちょっとした工夫が必要です。

受け皿の利用例(夕方には無くなる量を入れる)
鉢皿を使い、朝に水を一杯にしておけば昼~夕方ぐらいまでは水を吸ってくれるので、しおれ対策になります。苗のサイズに応じて皿のサイズや深さは選んでください。

イチジクと自動潅水(点滴潅水)
筆者は自動潅水(点滴潅水)しているのですが、鉢の数が多くて(ブルーベリーとイチジク、その他もあるので100鉢以上)部のポットまでやれないので、たまに枯れそうな苗もでます。
遮熱対策
重要なので補足して解説。

ポットにアルミシートを巻く
- 黒ポットに白い布やアルミシートを巻くことで、直射日光の吸収を抑える。
- 鉢カバーやすのこを使って、地面からの熱反射も防止
- ポリポットを一回り大きな白い鉢に入れる。
真夏の日中、コンクリートの上は高温になるので、鉢は直置きしないでください。ブロックも暑くなるのでご注意を。
水やりの工夫
- 真夏は朝と夕方の2回、たっぷり水を与える
- 表面だけでなく、鉢底から水が出るまでしっかり給水
- 土の乾燥を防ぐために、バークチップやココチップ、藁でマルチングするのも効果的

ココチップ
それでも葉数が多くなると、水切れてしおれることがあります。とくに外出して数日、家を空ける場合は枯れる危険も。そんなときのために、受け皿に水を張っておきます。
これをするだけで、一泊二日程度であれば枯れるのを防げます。でかける直前に水をやり、返ったらすぐ確認して、水やりをして枯れることはありませんでした。
風通しの確保
- 蒸れを防ぐため、鉢の周囲に空間を持たせる配置が理想
- 葉が密集している場合は、軽く剪定して風通しを改善
鉢植えで密植栽培すると、虫の被害や病気に気づきづらくなるので要注意。サビ病にすべての苗が感染してダメージを受けるおそれも。
※注 風通しのいい場所で、苗の間隔を空け下葉を取り除いたとしても、病気や虫の被害は防げません。早く気づきやすいだけなので防除は欠かせません。
肥料管理の基本
肥料の与え方も、黒ポット栽培では慎重に行う必要があります。
根のスペースが限られているため、肥料の種類やタイミングを誤ると、逆に植物にストレスを与えてしまいます。
肥料の種類
- ポット栽培には緩効性肥料(IB化成など)が使いやすい。
- 液体肥料は即効性があるが、頻度と濃度に注意。
おすすめはIB化成。2週間に1回、1000倍の液肥を与える。
肥料のタイミング
- 春の芽吹き前、収穫後および秋の3回が基本
- 真夏は肥料焼けのリスクがあるため、控えめに与えるか、液肥を薄めて使用
※プロ農家さんは、6月終わり頃に化成肥料を与えられていました。最終的には樹勢と葉色で肥料の回数を変えます。
肥料焼けを防ぐコツ
- 水やり直後に肥料を与える
- 肥料が根に直接触れないよう、土に軽く混ぜ込む
- IB化成など緩効性肥料を使う。化成肥料は、慣れないと肥料焼けをおこしやすい。
病気・根詰まりのチェックポイント
イチジクが元気に育たないときは、病気や根詰まりの可能性も。
早期発見と対処が、果樹栽培の成功につながります。
真夏の場合は、根はいじらず1~2周り大きい鉢に植え替えます。
病気の初期症状
- 葉が急にしおれる、幹が黒ずむ、根元が湿って腐る
- 疑わしい場合は、トップジンMペーストやトリフミン水和剤で早期対処
- 葉の裏にサビのようなものを見つけたらサビ病です。しっかりと防除しましょう。広がるとその年は収穫できなくなります。収穫の2か月くらい前までに農薬などで予防するのが大切。サビ病は、いちじくはなりやすく、来年もなるのを想定して予防しましょう。
根詰まりのサイン
- 水の吸収が悪くなる、葉が黄色くなる、成長が止まる。
- 1〜2年に一度は鉢替えや根の整理を行うと、元気を保てる。
- 水やりしても、なかなか水が抜けない場合、根が詰まっている可能性が高い。
まとめ:黒ポット栽培で失敗しないための3つの工夫

表面を木材チップなどで覆う
- 遮熱対策で根を守る
- 水やりは朝夕2回+マルチング
- 肥料は控えめに、根詰まりにも注意
ちょっとした工夫で、黒ポット栽培でもイチジクはしっかり育ちます。
ぜひ、あなたの果樹栽培にも取り入れてみてください!
下記のイチジク、すぐ水やりしたら復活しました。ただしダメージの大きな葉は枯れてきたので除去しました。

釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。