ブルーベリーをもっと増やしたいなら「挿し木」が最適!
ブルーベリーの挿し木は「プロでも時間がかかる」と言われるほど、水や湿度の管理が非常に重要なポイントです。初心者でも成功できると聞いて挑戦したものの、発根までに思ったより時間がかかり焦った経験はありませんか?
本記事では、中間地(関東・東海など)での成功実例をベースに、プロ農家の手法を参考にしつつ、初心者にも分かりやすく失敗しないコツを紹介します。
写真付きでステップ別に解説し、最適な時期・用土・水やり方法などの基本も網羅。実際に挿し木苗を育てた実例写真や失敗談も交えながら、確実に成功させるテクニックをお伝えします!
目次
挿し木に適した時期
ブルーベリーの挿し木はする時期によって、「休眠挿し」と「緑枝挿し」の2つの呼び名があります。
中間地では、6月上旬〜7月初旬の梅雨時期、「緑枝挿し」が最もおすすめです。
理由は次のとおりです:
- 気温が20〜30℃と安定している
- 湿度が高く、乾燥しにくい
- 成長が活発な時期で、発根しやすい
反対に、春(3〜4月)や秋(9〜10月)でも不可能ではありませんが、成功率が落ちる傾向があります。特に春先は寒の戻り、秋は気温低下で発根が遅れることも。
とはいえ苗を購入して剪定したら、時期が外れていてもリスクは特にないので、取り合えず挿し木してみるという軽いノリでも良いと思います。趣味なので楽しくチャレンジしてみましょう~
休眠挿し(冬〜春)
プロは休眠挿しで行います。筆者もやっていますが、発根までに時間がかかります。
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時期:2月〜3月頃(地域により差あり)室内であれば、12月末くらいから可能。
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特徴:落葉後の枝を使用。発根率はやや低め。
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メリット:作業時期が早く、植え付けの準備がしやすい
緑枝挿し
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時期:中間地では、6月上旬〜7月初旬の梅雨時期
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特徴:伸びたばかりの若い枝を使う。発根しやすい。
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メリット:活着しやすく、失敗が少ない
初心者には、成功率の高い緑枝挿しがおすすめです。写真にあったように適期から多少はずれても 問題なく成功します。成功率が少し落ちることはありますが。
挿し木に適したブルーベリーの枝の選び方
挿し木に適している枝の特徴はこちら:
- 1年目の充実した枝(新梢)
- 芽がしっかりついていて、病害のないもの
- 枝の太さは「鉛筆よりやや細いくらい」が理想
※細すぎる枝や花芽のついた枝は避けましょう。
また、サザンハイブッシュ系やラビットアイ系は発根しやすいため、初めての方にも扱いやすい系統です。
発根を促す方法|より成功率を高めるには?
ブルーベリーの挿し木は、ただ挿せば良いというわけではありません。発根を促すために、次のようなポイントを押さえておくと成功率がぐんと高まります。
・水揚げをしっかり行う
切り口からスムーズに水を吸わせることで、発根しやすい状態になります。特に硬い挿し木では2時間〜半日ほど水揚げしておきましょう。
・発根促進剤は使わない
メネデールやルートンといった市販の発根促進剤は、挿し木の根が出やすくなる効果がありますが、ルートンは食用の果樹には使えません。使われるならメネデールをおすすめします。
メネデールを使うと、使わないものと比べて発根量が数倍に増える印象です。
・挿し木後は風通しと湿度のバランスを
乾燥は禁物ですが、風通しが悪いとカビや腐敗の原因に。土が乾かない程度に水やりしつつ、日陰で管理するのがコツです。
よくある失敗例と対処法
ブルーベリーの挿し木は成功率が高いとはいえ、次のような失敗もあります。
・挿し木が枯れてしまう
→ 原因例:高温すぎる環境、乾燥、強い直射日光など
→ 対処法:明るい日陰に置き、水切れに注意しましょう。夏は涼しい場所に避難させるのがコツ。
・黒く変色してしまう
→ 原因例:切り口が腐敗した可能性があります
→ 対処法:発根剤が多すぎたり、水に浸けすぎた場合は見直しましょう。
・カビが生える
→ 原因例:湿度が高すぎる、風通しが悪い
→ 対処法:土が常に湿りすぎないよう管理し、風通しの良い場所に移動します。
挿し木の管理と育成
成功した挿し木は、発根後も丁寧な管理が大切です。
・発根後の植え替え
根がしっかり伸びてきたら、一回り大きなポットに植え替えます。このときも、酸性土壌のブルーベリー専用用土がベストです。
・日当たりを徐々に慣らす
急に日向に出すと、葉焼けやストレスの原因になります。明るい日陰から徐々に日差しに慣らすのがポイントです。
・追肥は控えめに
成長を促したいところですが、発根直後の苗に肥料は逆効果。2か月後くらいから緩効性肥料を少し与える程度で十分です。
よくある質問(Q&A)
Q. 夏や秋でも挿し木はできますか?
→ 条件次第で可能ですが、高温や乾燥によるリスクが高くなります。春(3〜4月)または梅雨時(6〜7月)がベストです。
Q. どの品種でも挿し木できますか?
→ ブルーベリーの系統によって難易度が違います。ラビットアイ系は比較的成功しやすく、ハイブッシュ系はやや難易度が上がります。
Q. 発根までにどれくらいかかりますか?
→ 環境によって差がありますが、概ね3週間〜2か月ほど。気温や湿度が安定していれば早くなります。
【まとめ】
ブルーベリーの挿し木は、基本を押さえておけば初心者でも成功しやすい増やし方です。
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最適な時期は春か梅雨時
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ラビットアイ系が挿し木しやすい
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水揚げ・発根剤・明るい日陰での管理が成功のカギ
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発根後も優しく育てることが大切
コツさえつかめば、翌年にはしっかり根付いた苗になります。ぜひお気に入りのブルーベリー品種で挑戦してみてください。
プロと筆者の挿し木のやり方
YouTube『園芸農家イシヅキちゃんねる』で、プロのブルーベリー栽培農家の石黒さんを最初に参考に、さらに以下のチャンネルも参考に学ばせていただきました。なお下記の順序は、私が見つけた順です。
その他にもたくさんの方々が動画が公開されています。
- 『アントニオ』チャンネルさん。
- 『かみちゃん農園チャンネル』チャンネルさん。
筆者がやった事例と考え方
8月もできなくはないですが、高温で失敗するリスクがかなり高いので、できるだけ梅雨時期までが成功率が高い。(※8月後半~9月前半に夏剪定した枝を活用して、緑枝挿しをする方もいらっしゃるようですので、やってみても良いかも。)。
それと年内に植え替えられるまで成長するのが地域によっては間に合いません。少ない苗なら室内で管理できるとは思います。室内で挿し木の管理ができるのであれば、一年中いつでもできます。(レモンやシャコバサボテンの挿し木等で経験済み)
一般的には葉っぱが出ていない春頃が、ブルーベリーの挿し木の時期とされています。地方やその年の気温によって異なりますが、2~3月末頃までに挿し木をするのが良いかもしれません。この時期の挿し木を休眠挿しと呼ばれています。
私の場合はゴールンウィーク後に鉢植えを購入して剪定した枝を使ったので、緑枝挿しと呼ばれるやり方になります。
挿し木の用土
ブルーベリーは酸性土の土壌を好むので、培養土などを使われる場合には、酸性のピートモスや鹿沼土などを入れると栽培が容易になります。苦土石灰などアルカリ系を入れると、生育が悪化する恐れ・・どころか枯れる可能性があるのでやめてください。
※注 ピートモスは、必ず酸度未調整を購入してください。
用土の割合はこちら ⇒ 鹿沼土(細粒)8:ピートモス2
5:5でもやったことがありますが、水の管理ができれば可能です。
鹿沼土もピートモスも酸性で、ブルーベリーの挿し木に向いています。
肥料成分がほぼ入っていないので、穂木が腐りにくく発根もしやすいのでおすすめ。またブルーベリーは発根までの時間がかかるので、肥料成分が入っているとカビで腐りやすくなり挿し木に失敗しやすくなります。
穂木の長さ
休眠挿しに使う穂木は、木質化した太めのものがおすすめ。長さは10cmくらいが最適。マッチ棒以下の細い枝は乾燥しやすく、枝に蓄えられた栄養分も少なく失敗するリスクが高くなります。
緑枝挿しは、長さが短くでもOKですが、できるだけ太い枝が成功率が高まりますが細い枝でも可能です。その理由は葉が光合成でき、栄養分を自力で得られるので発根しやすいと考えられます。葉は半分程度にカットして、葉からの蒸散を減らします。
下記はかなり小さな枝ですが、これでも挿し木は可能です。どうしても購入した苗が小さく細い場合は、それしかないので、それでチャレンジしましょう。
こちらも小さな枝ですが、新芽が出て発根もしています。
下記は細い枝で挿し木した事例。上の小さな苗でも、立派に大きくなってくれます。
とはいえ、余程の事情がない限り、休眠挿しも緑枝挿しも、節が3つ以上ついている枝が最適。
ブルーベリーの挿し木のやり方
剪定した枝を切ったら、すぐ水に入れて穂木が乾燥しないようにします。根を挿す方を斜めにカットしてすぐに水に漬けます。とくに休眠挿しは葉がないので、穂木の上の面はまっすぐカットすることで、上下を間違わずにすみます。
水の管理が重要
日陰で管理して乾燥させない。根がないので用土を乾燥させると穂木がダメになり挿し木に失敗します。発根するまでは、必ず用土が湿った状態を保つようにします。
私の場合、5月の中旬頃に、剪定をした葉っぱが付いた枝を挿し木(緑枝挿しや新穂挿しとも呼ばれる)しました。
休眠挿し、緑枝挿しに限らず用土が一度でも完全に乾き枝がシワになっていると、挿し木に失敗する可能性が極めて高くなるので、絶対に乾かさないように管理。
ただし加湿は穂木が腐る可能性もあるので、乾かしすぎず加湿しすぎないような管理が求められます。この辺りが難しいと思います。挿し木したブルベリーの場所が、適度な光と湿度が保てる場所であれば、たまの水やりだけのほったらかし状態でも発根して成功する場合もあります。
ブルーベリーは発根までに最低2か月、休眠挿しの場合は3か月はかかります。この間の水管理だけは要注意。
- 最初の1ヶ月は、毎日朝か夕方にたっぷり水やりして乾燥させない。
- 2か月目は天気を見つつ、2日に1回くらい水やり。ただし乾燥させ過ぎない。
- 3か月目は、2~3日に1回くらいの水やり。ただし完全に乾燥させると、ポートモスは水をはじくので注意。長期、家を離れる場合は水管理に要注意。帰ってきたら全部、枯れている可能性も。
およそ3ヶ月で、おそくとも少しは発根しているはず。ポットの下に根が出始めたら、少しずつ水を控えるようにすると、根が回っていきます。あまり加湿にしていると、いつまでも根が張らず貧弱な苗になります。
私は緑枝挿しを主にやっていますが、発根は2ヶ月くらいで発根を確認。個体差がありますが、3ヶ月過ぎればほぼ発根しています。
私がやっている方法
最初の1週間くらいは、ポットをトレイに入れて水をポットの1割くらいつかるようにしました。雨が降らず晴れた日が続くと水が蒸発します。また水は2~3日に一回くらい新鮮な水に交換することで水の腐敗を防ぎます。時期によってはボウフラ(蚊の幼虫)が発生するので要注意。
1週間の間、しおれたりしなければトレイの水をすてて管理します。私は適当な日影がないので、百均で購入した遮光ネット(遮光率75~80%)を使っています。
注意点は、挿し木苗をなるべく動かさないように。発根が遅れる可能性があるので、台風や強風対策なども必要かと。
【保存版】はじめてのブルーベリー挿し木をプロ農家が実演解説
YouTube『園芸農家イシヅキちゃんねる』は必見です!
ブルーベリーの挿し木をしたい方は、チャンネル登録をおすすめします。チャンネル内のブルーベリーの動画は、全部みて欲しいすばらしい内容です。
時期がくると苗の販売もされることもあるので、欲しい方は要チェック!ただし大人気なのですぐ売り切れることも。私は買えませんでした。
肥料について
十分に根が伸びた9月頃に、大粒で白っぽい色のIB化成(緩効肥料)をポットの上に。生育状態は、栽培している場所やその年の気温、日照条件や品種によってもことなります。
即効性の化成肥料は、根焼けなどを起こし枯れるおそれがあるので避けます。液体肥料であれば、1000倍以上に薄めます。
肥料は翌年の春頃から、本格的に与え始めます。根の張りが悪い場合には、水やりが多すぎる可能性があります。根が少ないと肥料を吸えないので、水やりや肥料は調整してください。
挿し木苗の植え替え
ポットの中で根が十分に回ってから植え替えします。3月に休眠挿しした苗は、その年の10月~翌年の3月頃までに植え替えします。
用土は、鹿沼土(硬質中粒)5:ピートモス5の割合。私もこの配合ですが、鹿沼土を1割減らして腐葉土や水はけを良くするために木片の多い培養土を入れることも。最初は、ブルーベリーの専用の用土を使っていました。
挿し木苗から植え替える鉢は、1~2サイズアップが基本で、3サイズ以上アップさせると、ブルーベリーの場合は根腐れしやすくなり枯れるリスクも。早く大きくしたいからと、一気にサイズアップさせると、逆に成長が遅くなるのでご注意ください。
ある程度、木が大きくなれば3サイズアップでも大丈夫なケースもありますが、最初は少しずつ大きくするのが大事。
まとめ:プロのブルーベリーの挿し木と筆者のやり方
休眠挿しより、芽が動き出して葉が見え始めたタイミングで挿し木をすると、成功しやすいというプロのやり方を真似すると成功確率がさらにアップ。
大事なのは水の管理。いくら時期が適切でも、加湿しすぎたり乾燥させたりすると失敗に。
- 挿し木1か月くらいは、水やりを欠かさない。
- 2か月目は、天気をみながら少しずつ水やりを減らす。
- 3か月くらいには発根しているので、表面が乾いたら水やりをするようにして、根をしっかり伸ばすようにします。
加湿状態では、根が伸びず根腐れする恐れも。この塩梅が成功するかどうかのポイント。やってみるしかないです。ベテランは乾かし気味でやる方が多いですが、初心者の方は失敗のリスクが高くなるかも。筆者は枯らします。
挿し木の確率をアップさせるには、前年の秋にお礼肥を与えておくと、穂木に栄養が蓄積されやすいので成功率が高まります。もし来年も挿し木をする予定があれば、秋に肥料を与えるのを忘れないようにしましょう。
根が発根したかどうかの目安を、こちらの動画で理解しました。下記の3分54秒~必見!
発根しても、その後2~3か月くらいはポットのまま育てて、根がある程度回ってから植え替えます。根が少しでているくらいで植え替えると、根が腐ったりして失敗のリスクが増えます。焦って植え替えると、失敗するリスクが高くなります。
ある程度、自力で根っこから肥料を吸えるようになるには、根っこの量が必要になるので、あせらず育てます。なお、植え替えてからも環境にならすため、遮光して直射日光はしばらくさけないと枯れます。急激な変化は、苗に相当なストレスを与えてしまうからです。
下記も読むとさらに詳しくなります。

釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。