ブルーベリーは、ある程度の酸性土壌では活発に成長しますが、pH6.5を超えると成長が緩やかになり、品種や個体によっては枯れるケースも(根拠)。
酸度よりも、排水性や保湿、菌根菌などが重要との情報もありますが、やはり基本は酸性土壌だと思います。たしかに梅雨などの長雨で水がたまりやすい土壌では、成長は悪化するので重要な要素です。しかし研究者の方々によって、酸性度を変えた比較栽培であきらかな差が分かっています。
ブルーベリーが好む酸度に調整しつつ、排水性のよい土壌に改善してさらに微生物が働きやすい環境に整えれば、より成長が活発になることが予想できます。
下記の情報は、今後改訂する可能性があります。気になる方はブックマークをお願いします。
目次
ブルーベリーの酸度調整
ブルーベリーの土壌の酸度調整は、大きくわけて3つの方法があります。
- 酸性のピートモスや鹿沼土を土壌に混ぜてpHを下げる。
- 施肥すると酸性になる硫安や、硫酸カリなどの肥料を使う。
- 土壌改良用の硫黄粉(硫黄華)を使い、土壌を酸性にする。
これらを活用して、ブルーベリーに最適な酸度の環境を整えます。
ちなみに日本は酸性雨だから、土壌もブルーベリー好みの酸性度になるとの考え方は、あまりあてになりません。たい肥、微生物の働きなどでと中性よりになることも。また石灰分を多く含んだ土壌のケースも。
ピートモスで酸度調整
酸度調整に特に効果が見込めるのは、やはりピートモスを使うこと。
ピートモスは、環境問題や値上がりなどで減らす傾向にありますが、即効性があるのですぐに植えたい場合に効果的。
苗を購入して、すぐに地植えしたい場合や植え替え、鉢増しなどは、酸性のピートモスと鹿沼土をブレンドした用土に植えれば、とりあえずブルーベリーの環境になります。
注意したいのは、ピートモスは商品によって酸度が異なること。もしかすると、ロット、販売時期によっても異なる可能性もあるので、できれば植えるときにブレンドした用土を土壌酸度計で測定すると失敗を防げます。
硫安や硫酸カリの肥料
硫安(窒素成分)や硫酸カリを植物に施肥すると、ブルーベリーなど植物が肥料を吸収する過程で、土壌が酸性に傾きます。そのため、追肥するだけで酸性土壌になるので便利。
この2つの肥料に、中性の過リン酸石灰を使うと、化成肥料よりコストを抑えられます。また硫安や硫酸カリは、即効性があります。
使い方は、少量ずつ与えることで、肥料やけを防ぐことができpHも徐々に下げられるので、ブルーベリーへのストレスも抑えられます。
酸性に下げられ追肥もできるので、一石二鳥といえる方法です。肥料を使う場合には、比率が同じになるように使うと、一般的な化成肥料と同様に活用できます。
ただブルーベリー栽培では、硫酸カリをあまり使った情報が見つかりません。どちらかというと硫安、たまに化成肥料という組み合わせや、春先は有機肥料で追肥に硫安や化成肥料というパターンが多い気がします。
私の場合は、硫安と化成肥料を追肥、やはり春先は有機肥料を使います。肥料の与えすぎも生育障害になるので、pHが6以上になりそうなら、酸度調整は硫黄粉を使うようになりました。
硫黄粉ので酸度調整
硫黄粉は効果は高いので入れ過ぎ厳禁。効果がでるまで1~3か月、気温によって変わるので少量ずつ入れて、pHを測定して使うのが安全。
私の庭は以前は野菜を植えていたので、pHは6.5の弱酸性。
ブルーベリーならラビットアイがギリギリ生育できる上限。地植えのときに、植穴にピートモスと鹿沼土をドーンと入れれば、十分に栽培できます。
例えば厳寒期の12月に硫黄粉を入れて、1か月たっても効果がないからとまた追加・・・それでも効果なしでまた追加。温かくなった4月になったらpH2になってしまい、ブルーベリーが枯れた・・・なんてことにも。
私の使い方ですが、
- バケツにピートモスや鹿沼土やバーク堆肥などを適量入れて、そこに硫黄粉を入れてよく混ぜてから土壌へ(硫黄粉が偏らないように)。
- マニュアルの適量を2回に分けて使い調整。2~6ヶ月くらいかかる。
- pHは作業前と1か月ごとに必ず測定、メモして次回の散布の参考に。その時の日付や気温も記録しておくと貴重なデータに。
硫黄粉は土壌を酸性にするのに便利。先ほどの硫安や硫酸カリは土壌がある程度の酸性なら問題ないのですが、中性やアルカリ性のときには、酸度を下げるためにたくさんの肥料を追肥する必要があります。そのためチッ素肥料などが過剰になり、例えばうどん粉病や害虫などのリスクが高まります。
その点、硫黄粉は肥料が過剰になることはありません。
硫黄粉を検索すると、土壌改良用と殺菌用の2種類があります。当サイトでは、土壌改良用の土壌改革(微粉硫黄99.7%製剤)を使います。
私がこの記事を書いたとき、Amazonでは販売されていませんでした。おそらく業務用ということと、100kg以上の保管は、火災等の危険があるので所持に制限ある薬品になるので、販売店も制限されているのかもしれません。
YouTube『吉瀬園芸』さんの『【ブルーベリー】硫黄粉を使うときの注意点と硫黄粉の必要性』という動画は、使いすぎてブルーベリーが生育障害になってしまった事例で参考になります。
正しく活用すれば有効な資材ですが、この事例でも分かるように、かなり慎重に使わないと逆効果になってしまいます。
使用される場合には、説明書をしっかりと読み自己責任でお使いください。
まあ、人生自体が自己責任ですが・・・
微粉硫黄99.7%の使い方
散布する面積で計算します。土壌改革 (微粉硫黄99.7%製剤)は、取り扱い説明書で例として記載されているのが深さが10cm。pHを1下げるのに必要な重さ(kg)。
取り扱い説明書(PDF) https://www.hosoi-chem.co.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/manual/dojou_flyer.pdf(外部リンク)
取り扱い説明書から、抜き出して使用量を換算しました。鉢サイズは容量で計算してください。
10a(1000平方メートル 302.5坪、約1反 )60kgの土壌改革 (微粉硫黄99.7%製剤)を使用。効果は1~3か月ほどかかる。
下記は数学的な式としては単位等がおかしいですが、あくまでも私の計算したときのメモです。分量は、99.7%を想定。
10m(メートル)×10m=100平方メートル(約30坪)で 6kg。
5m(メートル)× 5m=25平方メートル(約7.6坪)で1.5kg。
2m×2m=4平方メートル 240g。(ラビットアイの1本あたりの面積相当)
1.5m×1.5m=2.25平方メートル 135g。
1m×1m=1平方メートル 60g。
1m×1m×0.1m=0.1㎥ (100L) 60g
10L=6g
1L=0.6g
万が一、計算を間違えるとブルーベリーを枯れさせる可能も。念のためご自身でも、マニュアルを元に再計算してください。
最初に植えるときは、ピートモスを多めに使いpHを下げる。コスト削減でピートモスを使わないときは、酸度調整に硫黄粉を使うのが現実的かも。
3kgあれば、家庭菜園レベルの庭なら、何年かは使えると思います。あまり大量に保管するのは危険なので、私は割高でも3kgにします。もし硫安や硫酸カリの効果で、pHが維持できるなら、硫黄粉は使わなくなるからです。
気温が温かくなった春~秋に2か月しても酸度が下がらない場合は、土壌の性質上、酸度が下がりにくい可能性があります。その場合は硫黄粉が少ない可能性も。酸度計の故障ではないのであれば、散布量を見直してみる必要があると思います。
ちなみに砂土や砂と粘土質が混ざった壌土、粘土質の多い埴土(しょくど)とはなどで必要な硫黄粉は、3~4倍必要量が異なることが分かっています(注1)。ブルーベリーを植える土壌によって頃なるのも、覚えておくと役立ちます。
著者 玉田孝人
『農業と警衛基礎からわかるブルーベリー栽培』 P101 土壌phの調整より
株式会社 誠文堂新光社
鉢植えで使うケース
鉢植えで使う場合、1L(リットル)あたり計算上は0.6gですが、マニュアルの想定する量よりも極端に少ない土の量なので、わずかな誤差で数値が大きく変わるので安全を見てまずは半分くらいで様子を見ましょう。
1Lの鉢なら、0.3~0.4gくらいで1~2か月、様子を見るのが無難。足りなければまたpHの差を見て適量を追加する感じで。
その場合、硫黄粉を使う前のpHと数か月後に測定した数値の差や追肥で与えた硫安などの影響も見て、散布の量は加減しましょう。
あまり硫黄粉を散布しすぎると、酸性になり過ぎて・・・ブルーベリーは枯れます。くれぐれも少量ずつ使うようにしましょう。
ちなみにpH3.5以下になあると、かなり危険です。論文などを見ると、枯死します。私が使っている土壌酸度計は±0.5の誤差があるので、pH4だとしたら、実際にはpH3.5~4.5の範囲なので、もしpH3.5なら危険です。ですので与えすぎには十分に注意して、慎重に散布しましょう。
なおブルーベリーは、酸度の目安(測定誤差±0.5)を考えて、この範囲内(根拠)に収まるようにできるだけ調整します。下記の赤字を狙う感じで。
参考 ブルーベリーをピートモスなしで地植えしたくて土壌酸度計(A 72724)購入した結果!phが予想より高かった
YouTube『シュール』さんの『ブルーベリーのpH調整 硫安は葉の色が濃く 硫黄粉は入れ過ぎ厳禁か?葉が赤みを』の動画で、葉っぱが赤くなっています。
鉢植えの場合、土の量が少ないので調整は難しいですので、少量ずつ与えるのが安全。鉢植えの場合は、植え替えのときにpHを調整して用土を作るのが早いかもしれません。
下記の情報は、ブルーベリー狩りなどで鉢に植えられているサイズの鉢を使った場合の用土の配合の事例を引用したものです。ちなみにピートモスは使わない方法です。
参考(外部サイト) 今までの常識を覆す画期的な"小尾流"栽培法|特集|読みもの|サカタのタネ 家庭菜園・園芸情報サイト 園芸通信
鉢土は赤玉土2:鹿沼土4:腐葉土4の混合に、元肥として鉢土60L当たり魚粉、油かす各200g施すことをおすすめします。そして、鉢土60L当たり酸度調整に硫黄華500gとカルシウム補給に硫酸カルシウムを200g 程度、3年に1回の頻度で混ぜ込みます。
引用元:https://sakata-tsushin.com/yomimono/tokushu/20170302_004943.html
まとめ:ブルーベリー栽培の酸度調整は硫安と硫黄粉
うちのブルーベリーはpH6だけど、元気に育ってるよ~という声も目にしますが、もしかしたらpH5だったら、さらに2~5割も成長した可能性も。
これって摘果しなくてもいいくらいの差がでているけど、気づかないだけかもしれません。実際に同じ品種でそれぞれ10鉢くらいでテストすると良いかもしれませんが、個人ではスペースの問題やお世話がなかなか難しいのが現状です。
私は先駆者の研究者のブルーベリーとphのデータを参考に、自分なりに酸度を調整することに(自己責任)。
10号までの鉢植えでは、ピートモスと鹿沼土を使い酸度を調整します。それは必要な分量が少ないからです。あとは追肥に硫安を使えば、おおよそ酸度は維持できます。
しかし時間とともにピートモスも堆肥化して、pHが徐々に上がっていくので植え替えをしない場合には、硫黄粉を使うとサザンハイブッシュなどは生育が良くなるかもしれません。
さすがにpHが6を超えていたら、サザンハイブュシュの成長が遅くなってる可能性も。なかなか成長が遅いだけですと気づきにくく、葉がクロロシスになって葉の葉脈がめだったり色が黄色や薄くなってきたら、成長に問題があると気づくと思います。それではすでに生育が遅れていると考えられます。
硫黄粉を使わなくても、クロロシスになっても結実して実を付けるのであまり神経質にならなくても大丈夫ですが。
ブルーベリーは初期の成長が遅いので早く大きくしたい場合には、できるだけ管理してあげると1年早く実をたくさん食べられるようになる確率も上がります。私はpHに注意することに。とはいえ、調整は味噌汁と違って時間がかかるのが難点ですね。
この記事の情報を参考にブルーベリーの酸度調整をされた結果については、自己責任でお願いします。私も『これが正解だ!』という100%絶対に正しいなんていう根拠は完全に示せませんので。品種や生育環境にもよると思いますし。
1つ言えることは趣味栽培なので、本職のプロではないので収穫量の5%や10%変わっても問題なし。
家計に影響を与えるほどではないので、いろんな情報を参考にしつつも自分の思ったような栽培方法でも楽しめればそれで良いと思っています。このやり方を奨励しているわけではありません。あくまでも自己満足(趣味は自己満足の世界です)。
ブルーベリーの成長が悪いケース、詳しくは下記へ。
釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。