私の幼なじみに保育士になった子がいます。
保育園児の頃から「私の夢は保育士さん!」と、目を輝かせていたのを思いだします。
「私、先生みたいになりたい!」
そんな彼女が、ついに保育士に合格。
子供の頃の夢を叶えるなんて、そうそういませんよね。きっと幸せなんだろうな~と、うらやましく思っていました。
ところが、そんな彼女に異変が。一体、何があったの?
目次
保育士を辞めたい
これから紹介することは、彼女がわずか1年半に起きた現実。
あれほど夢にまで見た保育士さんという職業だったのに、辞めたくなるような現実がありました。
もし保育士になりたい方が、この記事を読まれたら落ち込むかもしれませんが、これも1つの現実として参考にしていただければ幸いです。
保護者との戦い
「いい加減にしろよ!保育士の分際で!」
ハッキリ言います。保育士を憧れの職業だと考えてなるようなものじゃない。
保育園は保護者との戦いです!
保育士をするなら、ビジネスと割り切らないとやってられない。
「あんた、なんで言ってくれないの!」
このトラブルの原因は、引き継ぎの問題です。
保育園は朝7時半頃~夕方18時くらいまでが一般的(地域によっては異なります)。保育士は、早当番と遅い当番があり長時間保育を支えています。
彼女はたまたまその日は遅い当番で、保育園についたところで保護者に呼び止められました。話すまもなく、いきなり怒鳴られてこちらは謝ることしかできません。
もし「お言葉を返すようですが・・・」なんて話し始めたら、火に油を注ぐような状況でした。
引き継ぎしないと保育士もテレパシー能力も、全知全能でもないので状況が理解できるわけもありません。
もちろん保護者は、そんなことは知ったことじゃない。理解する気もないし、人の話を聞く気もない。ただ不満をぶっつけてストレスを発散しているに過ぎません。
休憩時間なんてない!
「いやいやいや、あるでしょう? 例えば昼食の時間が」。
と、私も思いました。
でも良く考えてみると、彼女は年少組で食べるだけでも大変な子ども達。ごはんはこぼすし、隣の子と喧嘩もする。
年少さんなんて、自分で食べるのも大変。
好き嫌いで食べない子もいる。
それを見つけては、一人ずつ声をかけていきます。
いまどき、のどに食べものを詰まらせるような食事は、メニューにはないかもしれないけれど、周りは注意しなくちゃいけません。
その上、自分も子ども達と一緒に食事をしなければならない。だいたい先生二人で15~16人を見るので大変。
私なんて、一人でも大変。特に男の子は、女の子と違ってじっとしていない。
よくもまあ、少人数で子ども達を見られるな~と関心していました。なんか、世の中、違うよな~とか思うことも。
なんだか先生に子供たちを、押しつけている気分になることもあります。それでも預けなくちゃ、仕事にいけないし。複雑な心境。
それに子供を園にあずけて会社に行くとき、子供に泣かれながら行くのがツライ。
パソコンも1台
昔の保育士さんはどうだか知らないけれど、今は報告書をパソコンで書かなくちゃいけない。
順番待ち
学校の先生も報告書の問題がありますが、保育士も同じように書類、書類、書類に。それを書けるのは、子供を見ない時間の時だけだけど、一体、そんな時間、いつあるの?
みんな報告書を書きたいけど、時間がね・・・
お昼寝の時間も、子ども達が窒息しないかとか、見回りしなくちゃいけないので、気が休まらない。
真面目な人ほどしんどい職業
学校の先生も同じだと思うのですが、真面目に子供たちのことを考えると、喜んで欲しいからいろいろ作ったりします。
折り紙、飛び出す絵本を自作、保育園のイベントに備えて家でピアノの練習。
大きな紙に絵を描いたり、バラを作ったり、看板に色を塗ったり・・・
時間が足りないと、家族にも手伝ってもらう。
「私、何やってるんだろう」。
適当に手抜きすれば、良いかもしれないけれど、それじゃ、何のために保育士になったのか分からない。
と考えてしまうと、手抜きできない。
なんだか報われることが少ない職業かもしれません。唯一の喜びは、子供の笑顔だけど・・・
子供のインフルエンザが感染したかも
彼女は保育士になってから、必ずインフルエンザワクチンを接種するようにしています。
人混みは極力避け、出歩くときも必ずマスクを着用しています。
そんな彼女ですが、インフルエンザに感染しました。症状はさすがに予防接種を受けていたので、軽くすんだようでした。
実は何日か前に、体調の悪い子供が保育園に預けられました。熱は朝は無かったそうです。
「困るんだよね。でも保育士に拒否権はないから・・・」とポツリ。高温でぐったりでもしていない限り、少しくらい様子が変でも子供を預けていかれます。
ところがその子は体調が午後になって急変、友達がその子の様子を見ていたら、突然、彼女に食べたものをもどしてしたのでした。
彼女は、「食べたものをかけられて大変だった」と。その子が、インフルエンザでした。
しかし手遅れでした。
「子供が体調が悪いときは、登園を避けるか、保育士が拒否したい」とも。彼女が心配しているのは、他の子供への感染。
彼女はインフルエンザに対しては、人一倍、心配していたのです。
友達の死
あまり詳しくは書けませんが、大学時代、彼女の友人がインフルエンザで亡くなりました。
その友達も保育士を目指していて、予防接種をしていました。
ごく希なケースですが、インフルエンザウイルスが脳にまで達して命を失うきっかけになりました。
予防接種をしていても、命を無くすことはある。その衝撃な事実を身近で感じてから、インフルエンザに対して、より強く恐怖を感じるように。
保育士は弱い立場
保育士、学校の教師ともに、保護者に対して極度に弱い立場です。
飲食店や宿泊施設なら、場合によってはお客さんを拒否することもできます。でも基本的に、それができません。
おそらく保護者が体調が悪い子供を保育園に預けて、体調悪化で最悪、命を失うことになったら、「なんで言ってくれなかったんですか!」と、激怒して裁判に訴えるでしょう?
さっきまで楽しく遊んでいたのに、急に体調が悪化することはよくあるみたい。でも責任は保育士に押しつけられます。
もし保育園にお医者さんが常駐していれば、そういうことで訴えられることも防げるのかもしれません。
せめて体調が悪いときは、拒否する権限を与えてあげて欲しい。保育士や他の園児の命がかかっているのですから。
まだまだ保育園では、問題や事件化ギリギリの案件が、日本のどこかで毎日発生しているかもしれません。
社会で考えて欲しい
昔と違い、いまは長寿になりつつあります。
日本は急速に核家族化がすすみ、子供の面倒を他人に預ける流れになりました。しかし本来は、家族でみるのが子供にも良いはず。
おじいちゃん、おばあちゃんといっても、今は元気です。昔のように2世代、3世代で子供を見ることがでいれば、保育園への負担も税金も減らせます。
何か、良い方法はないものでしょうか?
一人の保育士に対して、7人も8人も見させているのは危険としか思えません。私だったら自分の子供2人でもギリギリ。自分ができないのに、保育士さんにいろいろ要求できない。
どうか、もう少し優しく見守っていただけないでしょうか?
会社や家でいろいろあるかもしれませんが、保育士にイライラあたったり、暴言を吐くようなことだけは辞めていただけませんか?
そうやって、今日も明日もまた一人、二人と保育士を辞めていくことでしょう。
保育士を目指す方へ
「子供が好き!」「先生に憧れて!」という方は、保育士を目指すなら、もう一度、立ち止まってよく考えてください。
もしかしたら、職業としてお金儲けのためという、ドライな関係で保育士をする方が、ストレスも軽減して仕事ができるのかもしれません。
「子供たちのために」なんて、必死で頑張るのは辞めた方が、自分の命に対しても良いかもしれません。
私は友人の保育士さんが辞めたいといっても、それをとめることはできません。
保育士にも拒否権を
ここまで色々書いてきましたが、保育士さんが辛い、苦しくて悩んでいる中で大きい問題の1つは、ごく一部の保護者の方。いわゆるモンスターペアレント。
保育士は、保護者はいわばお客さん。逆らう訳にはいきません。
どんな理不尽な要求も、できるだけ聞かなければいけない。そういう雰囲気があります。
しかしあまりにもひどい態度をする保護者は、保育士も何人かが報告すれば拒否権を発動して、他の園や保育自体をお断りすることも検討されても良いのでは?
これは何も保育園だけではなく、飲食店でも同じ。人間として扱ってくれない相手に対しては、拒否もできる仕組みが必要だと考えます。
もちろん、その情報は共有化して他の園に被害が及ばないような仕組みも必要になります。
最後に
保育士さんがこのままいけば、単なるビジネスとして、ドライに子供に接するようになるかもしれません。
言い方は悪いですが、保育士さんも堪えかねて日本中で共闘して、ロボットやアンドロイドが子供達に接するようになるかもしれません。
そうなったとき、一体、どこの誰が特をするのでしょうか?
ただ、自分の子供は大事という、親の気持ちも分からなくもありません。(うちの子供が保育園で怪我をしたこともあるので・・・)
子供は女の子で、顔に怪我したときはショックもありましたが、だからといって保育士さんを怒鳴りつけてもという気持ちもあり、普通に接するように心がけしました。
子供のことだから、怪我やすり傷はどこでもありますからね。保育士さんに限らず、人として接していきたいと私は思います。
もし保育士さんを目指されているなら、現役保育士さんの意見をよく聞いて最終的な進路を決められると失敗を避けられるのではないでしょうか。
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釣りやレモン栽培などをきっかけにブログで発信。子供の頃から母親に教えてもらい野菜の栽培や挿し木などの方法も学ぶ。40坪ほどの畑を借りて100種類ほどの野菜を栽培していた経験も。現在は庭で趣味の園芸を楽しむ。